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当局者の見解が分かれるなか金市場で注目したいこと

 NY金市場の中心限月は、7月10日には現地8月1日には1204ドルまで値を落としながらも、8月1日には1,280ドル越えを一時的とはいえ達成する場面が見られるなど、上値を追う足取りを演じました。8月に入ってからは反落に転じていましたが、9日に12月限が1280ドル超えとなり、1284.7ドルまで上伸し、同限月としては、6月14日以来の高値をつけました。

 現地7月14日の取引以降の金市場の足取りを見てみると、7月11日の取引で1210ドルを割り込んだことにより、目先の下げ一巡感が強まりました。その後は、イエレン議長による上院銀行委員会の公聴会において「低いインフレを認識している」、といったハト派的な発言内容が手掛かりとなって米追加利上げ観測が後退するに伴って金価格は上昇トレンドを強めています。

 さらに、7月20日には欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁による「ついに確りとした回復を経験しつつある」、「秋には金融政策に関する議論を行う」との発言を受けて金融縮小に着手するのではないかとの思惑が広がるなか、ユーロ高、ドル安が進み、これが価格を押し上げる要因となりました。

 しかしながら、8月に入ってからは、強気な米国の経済指標がきっかけとなって上げ修正に転じ、その後も現地8月4日には、発表された雇用統計が強気な内容となったことが追加利上げ観測を強め、これを受けて中心限月は9.80ドルの下げ幅を記録しています。

 ちなみに、金が大きく下落する要因となった雇用統計の内容を確認しておくと、非農業部門就業者数の20.9万人でした。また、は前月の23.1万人には及ばないものの、市場予測の18.3万人を上回ったうえ、失業率も前月の4.4%から4.3%へとわずかながら低下しています。

 この、強気な統計を受けて年内の追加利上げ観測が強まったことが、現時点での金価格下落を促す主要因になっているのです。

 とはいえ、今後の政策をめぐる見解に関しては当局者の間でも見解が分かれているのが実情です。

 米国連邦準備理事会(FRB)は、2017年度の追加利上げ回数は3回を予定しており、2017年に入ってからこれまで2回の追加利上げが実施されました。

 同時にこれまでの金融緩和を受けて膨らんだFRBのバランスシート縮小への着手にも迫られています。市場では3回目の追加利上げに関しては12月、バランスシート縮小着手については9月の実施を見込む声が大勢を占めているとみられます。

 しかしながら、当局者の見解はというと、バランスシート縮小の摘巣については肯定的な意見が多く聞かれる一方、年内の追加利上げ実施に対しては、異なる見解が聞かれています。

 追加利上げに対して消極的な見解を示しているのはシカゴ連銀のエバンズ総裁、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁、ダラス連銀カプラン総裁、セントルイス連銀ブラード総裁らで、中でもセントルイス連銀のブラード総裁は年内の追加利上げに対して否定的な見方を示しています。

 これらの総裁が追加利上げに対して消極的な姿勢を見せる根拠の一つとなっているのが、インフレ率です。

 というのも、インフレ率を示す指標の一つである米国の消費者物価指数(前年比・コア)は、4月以降、2.0%を下回る状況が続いており、当局が追加利上げの根拠としている2%の達成に至っていません。

 このようなインフレ率低迷の根拠の一つとして賃金上昇率の低迷が考えられます。前述の雇用統計では賃金上昇率は0.3%とされており、賃金の上昇がインフレ率の引き上げを期待するにはほど遠い伸びにとどまりました。

 雇用情勢の改善が続けば、今後、賃金上昇率も順調な伸びを見せる可能性が出てくることと思われます。しかしながら、それが実現されるには、消費者の消費意欲が刺激されるほどに賃金が上昇するのを待つ必要があり、これも追加利上げを決定するには時間が必要との認識を強める一因になっているでしょう。

 強気な経済指標の発表が見られながらも、それが雇用情勢の改善並びに賃金の上昇、そして消費者の消費意欲の高まり合ってのインフレ率の上昇でなければ、金融引き締め政策の実施には至らないと予想されます。

 目先の注目材料としては現地8月11日に発表される消費者物価指数ですが、同時に今後の賃金上昇率にも引き続き注意が必要となっています。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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