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過去最大の原油輸出量を記録した米国は有数の輸出国になれるのか

 米エネルギー情報局(EIA)は現地7月31日に発表した月報において、5月時点における米国の原油輸出量が日量102万3000バレルに達したことを明らかにしました。

 今年1月から5月間の米国の原油輸出量(日量)は、2月、4月、5月に100万バレル越えを達成しています。

 EIAの発表では1920年以降の輸出量が確認できますが、この発表によると米国の原油輸出量が100万バレルを初めて超えたのは今年2月で、その時の輸出量は111万6000バレルでした。

 その後、3月には83万4000バレルに縮小した輸出量が4月には100万1000バレルに回復し、続く5月も100万バレル台の輸出量を実現したことで、米国の原油輸出量は100万バレル台で安定する可能性が高まってきたとも考えられます。

 このような米国の原油出量の増加を可能にした主因がシェールオイル革命です。シェールオイル革命によって、採掘技術の発展によりシェール層からのガスや石油の商業ベースでの生産を可能にしたシェールオイル革命となった結果、米国の産油量は飛躍的に拡大しました。

 ちなみに、シェールオイル革命以前の2011年における米国の産油量(日量)は550万バレル程度でした。しかしながら、2014年9月に904万7000バレルと、900万バレル台の産油量を記録した後は、一時的に900万バレルを割り込む月は見られながらも、おおむね安定して900万バレル前後での石油生産が続いています。

 また、同様に2011年時点の原油輸出量を見てみると、この年の最大を記録した7月の輸出量は7万3000バレルであり、年間の平均輸出量は4万6800バレルにとどまっています。

 それが今年に入ってからは100万バレルで安定しての原油輸出の可能性が高まっているため、その後の米国の産油量の伸びが、輸出量の伸びにいかに貢献しているかが窺われます。

 ただ注意したいのが、この米国の原油輸出量の伸びが直ちに世界需給の緩和に結び付くわけではない、という点です。

 その理由を示す報告として注目されるのが、米国の原油輸入量です。

 米国の原油輸出量は確かに拡大していますが、それと同時に緩やかなペースとはいえ、輸入量も同時に拡大しています。

 まず前述の2011年における輸入量(日量)を見てみると、平均で約892万9,250バレルでした。その年以降、輸入量は次第に減少し、2014年の輸入量は700万バレル台にとどまっています。

 続く2015年も年間を通して輸入量は700万バレル台にとどまりました。しかしながら、2016年以降、輸入量は増加傾向を見せ、2017年に入ってからは800万バレルを超える輸入が続いているのです。

 なお、今年5月における輸入量は前年同時期の794万6000バレルに対し、839万7000バレルに拡大していました。

 このように、産油量が900万バレル前後で安定すると同時に輸出が増加しながらも、その一方では同時に輸入量が増加している、というのはどういうことを意味しているのでしょうか。

 その背景となっているのは、原油の種類の違いにあります。一口に原油といっても、比重の重い順に、超重質、重質、中質、軽質、そして超軽質に分類することができます。そのうち現在の米国の産油量拡大をけん引しているシェールオイルは軽質~超軽質の分類に入ります。

 2011年の産油量と比較すると450万バレル程度拡大していますが、そのほとんどはシェールオイルが占めています。そのため、米国内では軽質~超軽質原油の供給量は増加しながらも、超重質、重質、中質の原油の供給量は限られた状態が続いているのです。

 つまり、米国が輸入を行っているのはこの超重質、重質、中質の原油であり、一方の輸出は国内で供給が拡大している軽質から超軽質にあたるシェールオイル、となっているのです。

 そのため、米国内における性状別にみた原油在庫の不均衡を、供給が大幅に増加しているシェールオイルを積極的に輸出する一方で、国内の生産では追い付かない性状の原油に関しては輸入で手当てしている、という構造が浮かび上がってきます。

 原油輸出量が増加したからと言って、これがただちに世界的な供給過剰に結びつくわけではない、と考えられる理由はここにあります。

 米国の原油輸出はシェールオイル革命によって大幅に拡大しました。これを受けて順調な伸びを見せる米国の原油輸出量は今年に入ってから過去最大の100万バレルに達しました。

 米国内のシェールオイル生産量が今後も順調に増加し続ければ、同国の原油輸出量はさらに拡大する可能性もあります。

 しかしながら、輸出量は増加しているものの同時に輸入も増加していることは米国内で生産される原油の性状のアンバランスさを示しており、今後、増産が続いてもそれはシェールオイルによる増産となる可能性が高いことは、米国の大量の原油輸入は今後も引き続き行われると予測され、輸出量が増加しながらも米国が原油の純輸出国になる可能性は低い、という点を留意しておいた方が良いでしょう。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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