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大幅反落のコーン価格に再浮上の可能性はあるか

 現地7月12日のシカゴ市場ではコーン価格が大幅に下落しました。この日、中心限月である9月限は前日より16.25セント安の385.50セントで取引を終えています。

 9月限は現地7月10日の取引において、昨年6月下旬以来、約1年ぶりに400セント(4ドル)台で取引を終えていましたが、その僅か2営業日後には再び4ドルを割り込んで取引を終えることになりました。

 このような大幅安場面を演じた背景となっているのが、現地12日に発表された米国農務省(USDA)の需給報告です。

 今回の需給報告は米国の生産量、期末在庫量、期末在庫率がそれぞれ上方修正される、という弱気な内容となりました。

 実際の発表を見てみると、米国の生産量は前月予測の140億6,500万ブッシェルから142億5,500万ブッシェルへ、期末在庫量は前月予測の2億1,100万ブッシェルから2億3,250万ブッシェルへの引き上げとなりました。

 また、期末在庫率はこれを受けて前月予測の14.8%から16.2%への上方修正となっています。

 なお、期末在庫率が引き上げられたのは17~18年度だけではありません。前年度の16~17年度に関しても、前月予測の15.7%から16.3%への引き上げとなっているのです。

 この両年度において期末在庫率が引き上げの原因となった変更点は、16~17年度の場合は国内の飼料用需要見通しの7500万ブッシェルの下方修正にあります。一方の17~18年度の場合、前年度つまり16~17年度からの繰り越しとなる期初在庫量が前月予測の2億2,950万ブッシェルから2億3,700万ブッシェルへ上方修正されたことに加え、生産量が前月予測の140置く6,500万ブッシェルから142億5,500万ブッシェルへと引き上げられたことが背景となっています。

 コーンの期末在庫率の適正水準に関しては13~15%程度と見られるため、今回、16.2%まで期末在庫率が引き上げられたことにより、需給潤沢感がより一層強まることとなりました。

 ただ、今回の需給報告が市場に与えたインパクトは単なる期末在庫率の上方修正にとどまりません。なぜなら、現在、生育中の米国コーンベルトでは高温熱波による影響で、コーンの作柄が低下傾向にあるなかにもかかわらず、17~18年度の生産量予測が上方修正されているからです。

 なお、生産量が上方修正された理由は、作付け面積並びに収穫面積が引き上げられたことにあり、イールド自体は前月予測と同程度の170.7ブッシェルに据え置かれています。

 ここに今回の需給報告がサプライズとなった原因があります。というのも、現地7月9日時点のコーンの作柄のうち「良」以上の占める割合は、前年同時期の76%に対して65にとどまっているばかりか、今年度は作柄報告の発表以降、「良」以上を占める割合が一度も70%に達しておらず、生育状況が良いとは言えない状態が続いているからです。

 昨年度は生育期を通して「良」以上の割合が70%を上回る、生育に恵まれた年でした。この年のイールドはさすがに高く、174.6ブッシェルが見込まれています。

 一方、その前年度の15~16年度は今年度の予測170.7ブッシェルを下回る168.4ブッシェルの見通しとなっています。

 それではその年の生育状況がどうだったかを振り返ってみると、この年度は「良」以上が占める割合が70%を超えたのは5月下旬から6月下旬にかけての時期のみで、その後はほぼ70%を前後する状況が続いていました。

 作柄状況はその年の天候によって大きく左右されるため、これからどのように変化していくのか見通しには不透明感が強いのが実情です。

 しかしながら5月の生育当初から7月半ばまでという状況に限って見た場合、今年度の生育状況は昨年度よりも15~16年度に近く、それだけにイールドもこの年度に近づいていくことが予想されます。

 なお、米国コーンベルト西部の高温熱波が厳しさを増したのは7月に入ってからです。この高温熱波が作柄に目に見える影響を与えているのも、7月上旬以降のことになります。

 これに対し、今回のUSDAの需給報告には7月1日時点までの状況のみが加味されており、7月に入ってからの作柄悪化は、ほとんど考慮されていないと考えられます。

 それだけに、今回の報告では生産量予測が引き上げられたものの、今後の発表では作柄悪化を反映した生産量の下方修正が行われる可能性が高い、と考えられます。特に今回の需給報告において生産量が引き上げられていることから、その反動も大きくなる可能性があるのではないでしょうか。

 仮に収穫面積を今回の報告に据え置き、15~16年度のイールドを採用をした場合、生産量は今回、7月12日時点の予測142億5,500万ブッシェルに対し、140億6,140万ブッシェルに留まることになります。

 一方の総需要を今回の報告と同量の143億5,000万ブッシェルと仮定した場合、期末在庫量は今回の報告23億2,500万ブッシェルに対し21億3,140万ブッシェルとなると考えられることになります。

 7月半ば以降はコーンベルト西部を中心に高温熱波が続くと予想されています。現在、コーンベルトのコーンはシルキングを迎えています。この時期は開花、受粉が行われる生産量に最も影響を与える時期ですが、高温熱波はその最大の障害になります。

 生育に最も重要な時期に最も懸念すべき天候に見舞われた影響は、次回の需給報告には反映されることになりそうです。それだけに、現地7月12日の取引では大幅な反落場面を演じてはいるものの、コーン市場の弱い足取りは短期的なものにとどまるものと予想されます。 

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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