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頭重い足取りを見せる金市場はこれからどう動く

 NY金市場では頭重い足取りが続いています。中心限月8月限は1,240ドル割れには抵抗を見せつつも、1,260ドルに近づくと上値を圧迫される、という足取りを6月半ば以降は見せています。

 現地6月13日~14日にかけて開催された連邦公開市場委員会(FOMC)において、今年2回目となる追加利上げが決定された後は、これが売りを呼んだことから下値を追う足取りを演じたものの、欧米での政治リスクに対する警戒感や株式市場が上値追いとなるなかでリスクに備えた買いが見られたことが逃避買いを誘発し、下げ幅は限定されている、というのが現状と見られます。

 それでは、この金市場の頭重い足取りはいつまで続くのでしょうか。

 まず、今年に入ってからの値動きを確認してみると、今年は年内に3回の追加利上げが実施されるとの見通しが強い売り要因となったことで1,150ドルを割り込んだ水準から年初の取引を開始しました。

 その後は、トランプ新政権の誕生に伴う不安感を背景とした安全な投資先を求める動きが広がるなか上値を追う足取りを演じ、トランプ氏の大統領就任時には材料織り込みから売られる場面が見られました。

 しかしながら、売り込む動きはその後も続くことは無く、却って、オランダ総選挙、フランスでの大統領選といった欧州での政治情勢に対する警戒感が逃避買い需要を呼び込み、押されては戻すを繰り返しながら、ジリジリと値位置を切り上げる動きを演じてきています。

 これも、昨年6月のイギリスでの選挙におけるEU離脱派勝利、米国でのトランプ氏の大統領選勝利、という不測の事態の発生により、米国、そして欧州ではこれまで考えられていた以上に新たな流れを求める動きが強いことが認識され、これまでの予想とは異なる結果が選挙によってもたらされるとの潜在的な警戒感が生まれたことが背景になっていると考えられます。

 ただ、このような不測の事態に対する警戒感による買いも、材料織り込み後にはすぐに反落するという上昇に対する継続性の弱さを窺わせる動きも見せています。

 というのも、米国での追加利上げが金市場の長期的な上値圧迫要因となっているからです。

 米国では連邦準備制度理事会(FRB)が着々と追加利上げを実施しています。6月のFOMCにおいては、足元の経済指標において弱気な内容が見られたとしても、金融引き締めの姿勢を継続する姿勢を明らかにしました。

 それだけではありません。FRBでは金融引き締め政策の一環として、追加利上げだけでなく、バランスシート縮小にも年内に着手する可能性を示唆するなど、今後も金融引き締め政策を継続していく意向を示しているのです。

 このFRBによる追加利上げに対する前向きな態度は、今後も金市場の重石となってくるでしょう。

 とはいえ、価格上昇の可能性がないわけではありません。今年は欧州の選挙イヤーといわれているように、欧州では引き続き重要な選挙が控えています。

 また、ロシアゲート疑惑が浮上している米国でもトランプ政権に対する根強い不安感が見られています。トランプ大統領弾劾の可能性は低いとしても、トランプ政権に対する信頼の低下は、米国の政情に対する懸念として現れ、これがリスク回避の動きを刺激する可能性も見込まれます。

 さらに、北朝鮮のミサイル発射や、サウジアラビアとイランの国交断絶問題、といった地政学リスクも存在しており、地政学リスクの高まりとともに金を求める動きも強まるものと予想されます。

 金ETF残高は、追加利上げ決定後に縮小しましたが、851トン台に落ち込んだ後はすぐに買い戻される金に対する需要の底固さを感じさせる足取りとなっています。

 年初時点の金ETF残高が813.87トンだったことを振り返れば、現在の金の需要には底固さが感じられると言えるでしょう。

 おそらく、今後も米国での金融引き締めの動きが上値を抑制する要因として長期に渡って金価格の上値を抑制してくることが予想されます。ただし、欧州での選挙、米国でのトランプ政権に対する懸念といった欧米諸国での政治情勢に対する警戒感、北朝鮮や中東諸国を巡る地政学リスクが安全な投資先としての金需要を刺激する可能性があります。

 ただこれを翻してみると、FRBが明確に金融引き締めの方向性を示す中で、不測の事態が発生することがなければ、金は買いのきっかけを失うことになります。その場合、買い支え要因を失うことを意味するため、現在のサポートとなっている1,240ドルを大きく下回る水準まで下押されることになると見られます。

 今後は、欧米諸国の政情や地政学リスクがどのような動きを見せるか分からない中では、上昇にも下落にも転じる可能性があると言えます。ただ、その上昇、下落のどちらも、欧州の選挙付きである9月、米国で追加利上げやバランスシート縮小に対する意識が強まる9月、12月のFOMCを控える金価格にとって重要な時期をポイントとし、サイクルを描いていくことになりそうです。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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