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9ドル割れが視野に入るも上値波乱の可能性を残す大豆市場

 シカゴ大豆市場では現地5月31日の取引で909.50セントと910セント割れを記録しました。その後は米国中西部での熱波や、北部プレーンの熱波に伴う春小麦の作柄悪化観測を手掛かりにした買いが入って940セント前後まで値を引き上げました。

 しかしながら、今週に入ってから再び地合いは軟化しており、中心限月は現地6月20日の取引では前日に比べて10セント値位置を落とし、翌日21日の取引でも9セントの下げ幅を記録したほか、918.75セントと920セントを割り込んで引けています。

 ここに来てシカゴ大豆価格が下落しているのは、米国中西部での降雨予測と気温低下を受けて、米国中西部の大豆の作柄が改善に向かうとの見方が広がっていることが背景となっています。

 前述のように米国中西部では5月下旬から6月半ばにかけて乾燥した天候が広がったことで、この天候を受けた作柄悪化が懸念されていました。

 実際、米国農務省(USDA)の農業統計局(NASS)の発表によると、6月18日時点の作付率、発芽率はそれぞれ96%、89%に達し、前年同時期、平年の水準を上回っているものの、作柄のうち良~優が占める割合は18州平均で67%と前年同時期の73%を大きく下回っています。

 その一方では劣~悪の占める割合は前年同時期の5%を下回る7%となっています。そのため、作柄の悪化によって、イールドが現時点で予測されている48ブッシェルを下回るとの見方も浮上しています。

 このような状況下で降雨予測が発表されたことにより、これまでの作柄悪化懸念が和らいだ結果、シカゴ市場では売りが膨らんでいるのです。

 ただ、注意したいのは、大豆の生育にとって最も重要になる時期は、開花、受粉、結実の時期を迎える7月下旬から8月半ばにかけての時期です。この時期に熱波に見舞われた場合には、開花もしくは受粉不良に陥り、その結果として生産量が予測を大きく下回ってくる可能性が高まります。

 それにもかかわらず、米国中西部でこの時期の熱波に一喜一憂する展開を演じていることが、天候相場期には市場のムードは米国中西部の天候に大きく影響されやすい、という事実を示していると言えるでしょう。

 そのため、今後も米国中西部で再び熱波や乾燥した天候が広がるようであれば、シカゴ大豆市場は再度、上伸となる可能性を抱えていると考えられます。

 とはいえ、この熱波や乾燥した天候が上述のように7月下旬から8月半ばにかけてのものではなく、また長期に渡るものでもなかった場合には、大豆価格は再び下押されるリスクが高いでしょう。

 その理由は大豆の需給状況にあります。

 USDAの予測によると、2017~18年度の米国の生産量は前年度の43億700万ブッシェルを下回る42億5,500万ブッシェルに留まるにもかかわらず、この年度の大豆期末在庫率は11.7%で前年度の見通し11.0%を上回ってくることが予測されています。

 その原因となっているのが、16~17年度からの繰り越し在庫量です。16~17年度の場合、前年度からの繰り越し在庫量は1億9,700万ブッシェルでした。これに対し、17~18年度の場合、前年度からの繰り越し在庫量は4億5,000万ブッシェルへ拡大することが見込まれているのです。

 これを受けて、17~18年度の国内供給量は、生産量が前年度を5、200万ブッシェル下回ると予測されているにもかかわらず、前年度の45億2,800万ブッシェルから47億3,000万ブッシェルへ拡大すると見られています。

 その一方で需要も前年度の40億7,800万ブッシェルから42億3,500万ブッシェルへと拡大することが見込まれています。

 それでも供給量の拡大の影響で、期末在庫率は11.7%と前年度の11.0%を上回ってくる、つまり潤沢な状況が続く可能性が高いのです。

 なお、現在、米国農務省が予測している大豆のイールドは過去第2位の水準であり、作付け期を通して良好な作柄を記録した前年度を4.1ブッシェル下回るものとなっています。ただ、今年度の作付面積は過去最大が見込まれているため、イールドの低下による影響が相殺されているのです。

 だからといって、価格が上昇する可能性が全くないわけではありません。例えば、期末在庫率が一桁台まで低下するとの見通しが強まるようであれば、需給引き締まり観測が強まり、これが価格を押し上げることになるでしょう。

 現時点での予測をもとにして考えれば、期末在庫率が一桁台に落ち込むためには、期末在庫量が7,150万トンを上回る減少を見せる必要があることになります。仮に、国内需要を現時点での予測42億3,500万ブッシェルに据え置いた場合、供給が46億5,850万ブッシェル以下まで落ち込めば、期末在庫率の一桁台への縮小が実現されることになります。

 前年度からの繰り越し在庫量は4億5,000万ブッシェルが見込まれるため、生産量が42億850万ブッシェルまで縮小すれば、需給の引き締まりが警戒される一桁台の期末在庫率が示現されるわけです。

 それではどの程度までイールドが低下すれば、42億850万ブッシェルという生産量になるのか、というと、現在の収穫面積見込みから割り出すと47.5ブッシェル、つまり2014~15年度の水準までの落ち込みが見込まれれば需給引き締まり観測が高まると予想されることになります。

 ただし、2014~15年度の作柄を振り返ってみると、この年は作柄のうち良~優が占める割合はシーズン全体を通して概ね70%以上を維持するなど、今年の作柄よりも良好な状態にありました。

 そのため、現時点では需給面が重石になっているとはいえ、作柄のうち良~優の占める割合が70%を下回る状況が続いている限り、USDAの予測する48ブッシェルという生産量を示現する可能性は低下し、その一方で、需給引き締まりが意識される状況に変化してくる可能性があります。

 特に、夏場の天候次第では上値波乱となる可能性も十分に秘めているだけに、今後の天候が最大のポイントであることに変わりはありません。

 ただ、需給潤沢感は米国内に留まる話ではありません。アルゼンチン、ブラジルという南米の主要生産国による大幅な生産量の拡大を受けて、世界的に供給量が伸びていることも、大豆市場にとっての重石になっているのです。

 USDAの予測によると、16~17年度の両国の大豆生産量はアルゼンチンが前年度の5,680万トンに対し5,780万トンへ、そしてブラジルが前年度の9,650万トンから1億1,700万トンへ拡大することが見込まれます。

 この両国のうち1億トンを超える生産量を示現することにより、ブラジルの大豆輸出量は16~17年度には6240万トンと、前年度の5438万トンを大きく上回ってくることが予測されています。

 これに対し米国の大豆輸出は、国内の大豆需給には潤沢感が強いにもかかわらず、前年度の5269万トンから5579万トンへへの増加にとどまる見通しとなっています。

 なお、17~18年度の米国の輸出量は、前年度を上回る5851万トンが見込まれています。つまり、USDAは大豊作となった16~17年度を上回る輸出が行われても、米国の大豆需給には潤沢感が強いと予測しているわけです。

 米国の大豆生育は夏場が最大のヤマ場であり、この時期の天候次第では生産見通しが大幅に下方修正されるリスクを依然として抱えています。特に、生育初期段階から作柄の良~優の占める状態が70%を下回る状態が続いている状況下で熱波に見舞われれば、生産量予測の大幅な修正を迫られる可能性もあります。

 それだけに、今後の天候には依然として注意が必要で、イールドの低下観測が強まるようであれば、需給引き締まりに転じる可能性もある点は十分に留意しておく必要があるでしょう。

 ただ、16~17年度の大豊作直後だけに米国内外の需給には潤沢感が色濃く、それだけにCBOT市場の大豆価格は9ドル割れも視野に入れて置いた方が良いように思われます。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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