FX外国為替情報のKlug(クルーク)
為替、海外投資でハイリターンを得るためのニュース、レポート、コラムを掲載

回復傾向にある原油市場は本格的な上昇に向かうのか

NYMEX原油先物市場では、続伸場面が見られています。期近限月の6月限は、現地5月5日の取引では43.76ドルと、昨年11月半ば以来、初めて44ドルを割り込む場面が見られました。

しかしながら、その後は反発に転じ、現地15日に中心限月の6月限は48.85ドルで取引を終えています。翌16日には小反落に転じましたが、それでも終値は48.66ドルと48ドル台を維持しています。

中国の弱気な景気指標の発表や、足元の需給に引き締まり感が薄いこと、そして米国の追加利上げ観測などを手掛かりにして売られた現地5月5日の取引以降も、米国の増産や、イランの日量300万バレルまでの原油生産能力増強が弱材料となっていました。

それがここに来て原油価格が回復傾向に転じているのです。その理由として挙げられるのが、ロシア、サウジアラビアという世界の主要産油国による減産延長合意の報でした。

5月15日にサウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相とロシアのノバク・エネルギー相は、中国・北京で開催した共同会見において、両国が2018年3月までの間、減産を延長することで合意したことを明らかにしました。

今のところ、減産期間の延長に合意しているのが明らかとなったのは、サウジアラビア、ロシアの2か国のみです。

しかし両国はそれぞれ世界第2位、第3位の産油国であり、国際エネルギ―機関の発表によると、両国の1日当たりの産油量は合計で2,000万バレル以上に達します。

今回、このような2大主要産油国が減産期間延長したことにより、他の産油国もこの動きに同調する動きが見込まれることに加え、来年3月までという減産期間には北半球の石油需要が最も拡大する夏場の需要期が含まれているため、夏場には需給引き締まりに対する警戒感が高まる可能性があると考えられます。

【今年の世界のエネルギー石油需要は増加見通し-米エネルギー省】
米国エネルギー情報局(EIA)によると、今年の世界の石油需要量は第1四半期は1日当たり9,670万バレルでした。しかしながら、第2四半期以降の需要予測に関しては、第2四半期が9,792万バレル、第3四半期が9,935万バレル、第4四半期が9,920万バレルへ増加すると見られています。

これに対し石油供給量の方は、第2四半期が9,780万バレル、第3四半期が9,933万バレル、そして第4四半期が9,970万バレルの見通しとされています。

これは、第2、第3四半期は需要が供給を上回る状態が続くものの、第4四半期には供給が需要を上回ることを示しています。つまり、第2四半期以降は、世界的に需給引き締まりに向かう可能性が高い、との見方が明らかにされているのです。

ちなみに、この報告が発表されたのは現地5月1日で、今回のロシアとサウジアラビアによる協調減産期間の延長合意は加味されていません。そのため、この両国の減産を単純に当てはめれば需給引き締まりの度合いはより高まることも想定されます。

【米国内のシェールオイルの生産拡大の可能性】
ただし実際にはそう簡単に需給の引き締まりが進むようとは考えられません。というのも、まず需給の引き締まり観測が強まり、これが価格の上昇を促すようであれば、米国のシェールオイル生産量が拡大する可能性があるからです。

実際、原油価格が48ドル以上の水準に回復するなか、シェールオイル生産量も回復する可能性が示されています。

現地15日にEIAは掘削状況レポートにおいて、米国の6月の シェールオイル生産(日量)は前月から12.2万バレル増加した540.1万バレルに達する見通しを示しています。

このシェールオイル増産予測は、原油価格の回復だけでなく、夏場の需要期を見込んだうえでの拡大と見られます。しかしながら、需要の状況に応じて産油量の拡大が可能であることが示されていることにより、今後、石油需給の引き締まりが見込まれ、これが価格の回復を促すようであればシェールオイル生産量も増加する可能性が高いことが想定させます。

 また、OPEC内において、リビア、ナイジェリアといった減産を免除されている産油国は、国内情勢の安定化に伴って産油量を引き上げてくる可能性が高く、これも協調減産による影響を相殺する要因になってくることが見込まれます。

 さらに、ここに来て国際エネルギー機関(IEA)が16日に発表した月報において、2017年度前半の世界石油需要の成長ペースを前月から11.5万バレル下方修正するなど、需要の伸びが鈍化する可能性が示しました。

 そのため、ロシア、サウジアラビアが協調減産期間を延長し、これに他の産油国が賛同して協調減産を実施したとしても、シェールオイル増産の可能性、ナイジェリア、リビアの石油生産量拡大の動き、さらには世界的な需要の伸びの鈍化、といった供給面、需要面、それぞれの弱材料が協調減産延長による影響を相殺すると考えられるのです。

 両国の協調減産期間の延長は市場にとっては強気要因として受け止められ、原油価格の上昇を促しました。しかしながら、原油価格が回復したところでは供給が拡大することが見込まれることに加え、世界の需要の弱気な見方もあって、原油価格の上昇は短期に終わる可能性が高く、25日に控えている石油輸出機構(OPEC)総会次第とはいえ、原油価格の上値は重い状態がまだ続くように思われます。

【ご注意】本ブログに掲載されている情報の著作権は株式会社日本先物情報ネットワークに帰属し、本ブログに記載されている情報を株式会社日本先物情報ネットワークの許可無しに転用、複製、複写することはできません。

平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

メールマガジン

山岡和雅が毎日発行!
外国為替ディーラーの心の中

毎日の為替相場を、市場参加者の目を通して判り易く解説。為替ディーラーの本音は?【まぐまぐ殿堂入り】

バックナンバー

朝刊 ニューヨーク為替市場レポート
米国市場の動きを、朝一番に配信!! FX、外国為替、米国株、米国金利など、テレビやWEBサイトでは得られないニューヨーク金融市場情報のほか、アナリストの独自解説も配信します。

バックナンバー

powered byまぐまぐトップページへ

URL変更のお知らせ

KlugFXのURLはhttp://klug-fx.jpへ変更となります。お気に入りやブックマークなどに登録されているご利用者さまは、お手数ですが下記の新URLへの変更をお願いいたします。

http://klug-fx.jp