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どうなる?これからのとうもろこし市場の足取り

 現地3月10日に米国農務省(USDA)は最新の需給報告を発表しました。米国の16~17年度の需給見通しに関してはこの時期までの発表ですでに確定されているとの見方が強いため、注目されたのは成熟~収穫期を迎えている南米諸国の生産動向です。

 特に、南米の2大生産国であるブラジル、アルゼンチンのとうもろこし生産量予測が注目される要因となりました。

 というのも、この両国は昨年4月~5月にかけて厳しい干ばつが広がり、その結果、二期作目のとうもろこし生産量が当初予測を大幅に下回る事態に見舞われたからです。それだけではありません。それぞれ世界全体のとうもろこし輸出におけるシェアが20%程度、そして16%前後を占める主要輸出こくであるため、この両国の生産量の縮小ならびに輸出量の減少は、直ちに米国の穀物輸出の上方修正見通しへと繋がりました。

 このような昨年度の経験が、この時期の需給報告に対する注目度を高めているのです。

 特に、ブラジルでは二期作目のとうもろこし生産量が順調に拡大しており、その結果として二期作目のとうもろこし生産量の見通しが、需給予測に大きく影響する状況へと変化してきています。

 例えば昨年度の場合、同国の15~16年度のとうもろこし生産量は当初、7,500万トンと予測されていました。しかしながら、干ばつに見舞われた結果、この年度のとうもろこし生産量は6,700万トンへと引き下げられました。

 これに伴ってこの年度の輸出量予測も当初の2,200万トンから1,420万トンへの下方修正となったのです。

 ブラジルのとうもろこし輸出量予測の引き下げを受けて、一時は4,191万トンまで引き下げられていた米国のとうもろこし輸出量はその後、次第に上方修正され、最終的な輸出量は4,820万トンに達しています。

 このブラジルの生産量予測と米国のとうもろこし輸出量予測の変化の推移は、ブラジル、アルゼンチンの生育が順調に進行し、これを受けて両国の輸出量が拡大するようであれば米国の穀物輸出が圧迫を受けると可能性が高いことを示しています。

 同時に、昨年度のように天候不良に見舞われ、両国の穀物生産が不振に陥るようであれば、米国産への需要が高まり、その結果として米国の需給がこれまで予測されていたよりも引き締まると予測されることが窺われます。

 それでは、16~17年度のとうもろこし生産量について、USDAは今回の報告でどのような見通しを示したのか、改めて振り返ってみましょう。

 ブラジルの生産量は、前月予測の8,650万トンから9,150万トンへ、そしてアルゼンチンの生産量は前月予測の3,650万トンから3,750万トンへとそれぞれが上方修正されたのです。

 つまり、現時点での両国の穀物の生育環境は良好で、干ばつに見舞われた前年度に対し、豊作の見通しが強いことが今回の需給報告で示されたといえるでしょう。

 しかしながら、だからといってとうもろこし価格が今回の需給報告によって受ける下方への圧力は限定される可能性が高いように思われます。そう考えられる一つ目の理由として挙げられるのが、南米の生産量が引き上げられたにもかかわらず、同様に南米諸国の豊作が見込まれることで米国の輸出量見通しが引き下げられた大豆とは異なり、米国内需給は需要サイド、供給サイドは共に据え置かれている点でしょう。

 USDAは、米国産の穀物の場合、大豆よりもとうもろこしに対する需要の方が底固い、と見ていることになります。実際、輸出成約高の動向を見てみると、現地3月9日発表時点の大豆の輸出成約高は5,298万8,000トンで4,266万8,300トンだった前年同時期に比べて約24%の伸びを見せているのに対し、とうもろこしの輸出成約高は4,414万9,500トンと、前年同時期の2,882万2,300トンから約53%もの伸びを見せています。

 南米の輸出が本格化する時期を迎えてもなお、米国のとうもろこし輸出成約高が順調な伸びを見せていることは、USDAの強気な米国のコーン需要に対する見通しを裏付ける根拠になっているのです。

 このような強気な需要が見られているにもかかわらず、現在の大豆価格ととうもろこし価格の比価は2.78前後と、依然として大豆に割高感の強い状態が続いています。

 割高感が強いということは、それだけ高い収益を得られる可能性が高いことを意味しています。特に、今春の作付に対する意識が強まる3月半ばを迎えるなかで大豆が割高感の強い状態を維持していることにより、今春は大豆の作付意欲が高まる、つまり、とうもろこしよりも大豆の作付面積が拡大する可能性が高い、と考えられることになるのです。

 なお、USDAは2月23~24日に開催したアウトルック・フォーラムにおいて、2017~18年度の作付面積を、大豆は前年度に比べて460万エーカー拡大した8、800万エーカーとする一方、とうもろこしの場合は400万エーカー縮小した9,000万エーカーに留まるとの見方を示しています。

 とはいえ、輸出需要が強いのは、前述の通りとうもろこしの方であるため、作付面積が縮小するようであれば、17~18年度のとうもろこし需給には好調な輸出用需要に加え、生産量の減少見通し、という新たな強気要因が加わる見通しとなります。

 16~17年度の大豊作後で需給の大幅な改善見通しが強まっているため、買い進むほどの新規の材料は見当たらないのが現状です。しかしながら、輸出用需要が好調であるにもかかわらず、比価の観点から作付面積の縮小が見込まれるとうもろこしの場合、将来的に需給が引き締まる可能性が高まっていると見られ、大豆市場に比べると地合いは底固いように思われます。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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