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追加利上げが重石になるも、留意しておきたい金への根強い投資意欲

 NY金市場では2月下旬にかけて強い足取りを演じていました。例えば、現地2月27日の取引において一時的とはいえ、中心限月の4月限は1,264.9ドルと1,260ドルを上抜く場面が見られる強い足取りを演じています。

 しかしながら、3月に入ってからはこの堅調地合いから一転して地合いは弱まり、下値を探る展開が続いています。ちなみに、現地3月8日の取引は1,209.4ドルで終えています。NY金市場において中心限月の終値が1,210ドルを下回ったのは現地2月1日以来です。

 このような下値追い場面をNY金が演じているのは、2月下旬から3月3日にかけての当局関係者による発言が背景となっています。

 イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、2月14日~15日にかけて行われた議会証言において、"金融緩和政策の解除を待ちすぎることは賢明ではない。"と語るにとどまり、3月の追加利上げに関しての具体的な言及は行いませんでした。

 しかしながら、その後、2月27日にはダラス連銀のカプラン総裁が"追加利上げは早めに実施するのが賢明"との見方を示したことに加え、翌日28日にはニューヨーク連銀ダドリー総裁がCNNとのインタビューにおいて追加利上げを肯定する根拠が大幅に強まっている、との見解を示したのです。

 さらに、 FRBのパウエル理事が米CNBCとのインタビューにおいて米連邦公開市場委員会(FOMC)が3月に行われる次回の会合で追加利上げを実施するための根拠揃ってきたと発言したほか、3月3日にはイエレンFRB議長が追加利上げに対して前向きな発言を行っています。

 ロイター通信の訳によると、同議長は"雇用をめぐる指標とインフレが力強さを維持するようであれば、FRBは今月の会合で利上げを決定する"と語っています。当局関係者の追加利上げに肯定的な発言に加え、同議長がこのような発言を行ったことが、追加利上げ観測を強める決定打となりました。

 3月のFOMCは現地14~15日にかけて開催されますが、今後、発表される経済指標のうち注目に値するのは10日に発表される2月の米雇用統計のみであるため、この雇用統計が弱気な内容でなければ、市場の追加利上げ観測はますます高まることになりそうです。

 とはいえ、だからといって金市場全体が弱気ムードにあるとはいえないのが現状です。というのも、3月のFOMCとほぼ同時期となる3月15日にはオランダで総選挙を控えているからです。

 2017年は欧州にとって、数々の重要な選挙が行われる選挙イヤーとなりますが、その先陣を切るのが3月15日に行われるオランダの総選挙なのです。

 移民問題を巡る対立が深まるなかで、昨年の英国のEU離脱派勝利、米国でのトランプ氏の大統領選勝利に続く、サプライズ的な選挙結果が訪れる可能性がある、との見方が、金に対する安全な投資先としての需要を根強いものにしています。

 実際、逃避買いとしての金需要の動きを示す金金場投資信託(ETF)の中でも、世界最大規模を誇るSPDRゴールドトラストは、追加利上げ観測の強まりにともなって若干の減少を見せているとはいえ、現地3月8日時点の残高は836.77トンと、現地3月2日に記録した845.32トンからは8.55トンの縮小にとどまっているのです。

 また、月間でのSPDR金ETF残高の推移を振り返ってみると、1月の場合は月末の残高は月初に比べて14.8トン減少したのに対し、2月の場合は31.43トンの拡大となっています。

 3月の場合、現地7日時点の残高は、3月初に比べて6.77トンの縮小となっていますが、追加利上げ観測が強まるなかでもパニック的な売りが見られていないのは、それだけ、欧州の重要な選挙が近づくなかで、安全な投資先としての金需要が高まっていると考えられるのです。

 欧州では3月15日のオランダ総選挙以降、4月にフランスでは大統領選挙を控えています。3月14日~15日のFOMCで追加利上げが決定されて金価格がさらに下押されることになれば、欧州からの逃避買い需要がすぐに買い拾いに入ることが見込まれ、金価格に大きな下げ余地は乏しいと見られるのが実情ではないでしょうか。

 なお、3月のFOMCにおいて追加利上げが先延ばしされるようであれば、これまで売り込まれた後での買いが積極的に入ることになりそうです。目先の金市場は頭重い足取りが続きそうですが、安全な投資先としての需要の根強さが価格をサポートする要因になる可能性がたかいことに加え、市場の思惑が外れて追加利上げが先延ばしされた場合には、上値波乱となる可能性も含んでいる点には注意が必要でしょう。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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