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とうもろこし市場は価格上昇も一過性の動きに終わりそうな理由

 現地2月28日の取引において、シカゴ市場のとうもろこし価格は大きく上昇する場面が見られました。この日、中心限月である3月限は一時的に378.75セントまで上昇した後、転売が見られたとはいえ、それでも前日より6.5セント高い366.75セントで取引を終えています。

 このような大幅高場面をとうもろこし市場が演じたのは、米再生燃料協会がトランプ米大統領がエタノールをガソリンに混合する方法を変更する大統領令を検討中と発表したことを受けて、エタノール生産用需要が増加するとの見方が背景となっていました。

 とうもろこしの場合、大豆と同様に豊作になった場合でも、大豆の需要が旺盛であるのに対し、需要の伸びが緩やかと予測されていることが重石となってきました。2016~17年度は米国では大豆、とうもろこしが共に記録的な大豊作となったにもかかわらず、大豆がとうもろこしに対して割高な状態が続いているのは、この需給見通しが背景となっています。

 ちなみに、長期的な需給見通しを米国農務省(USDA)はどのように見ているか、というと、2026~27年度までは生産量が短期的な減少が見られながらも全体的には増加傾向を保つ一方、期末在庫率は12.7%~16.5%のレンジを維持すると予測しています。

 これに対し、同期間の大豆の需給に関しては、とうもろこしと同様に生産量は緩やかに拡大し続けることが見込まれているにもかかわらず、期末在庫率が二ケタ台に達するのは2016~17年度のみで、それ以降、少なくとも2026~27年度までは7.0~9.5%と一桁台での推移が続くと見ているのです。

 なお、とうもろこしと大豆の価格比は、2.3前後が適正とされています。これは、大豆の価格がとうもろこしの価格の2.3倍前後が適正、という意味ですが、この倍率を上回るようであれば大豆が割高、下回るようであればとうもろこしが割高として考えることが出来ます。

 今期に関しては、大豆、とうもろこしは共に大豊作だったにもかかわらず、この長期的な需給見通しが背景となって大豆価格がとうもろこしに対して2.7~2.8倍程度と割高な状態が続いています。

 このような大豆の割高傾向が大豆の生産意欲を高めると見られましたが、実際にUSDAも現地2月23~24日に開催したアウトルック・フォーラムにおいて、大豆の17~18年度の作付面積を前年度に比べて460万エーカー拡大した8,800万エーカーとする見通しを示しました。

 これに対し、とうもろこしの作付面積は前年度よりも400万エーカー縮小した9,000万エーカーとの予測が明らかとされています。

 このような作付面積の縮小見通しは、生産量減少を高めるため、市場にとっては買い支援材料となります。実際、生産量は140.65億ブッシェルと、前年度の151.48億ブッシェルを10億ブッシェル以上下回る、大幅な減産になるとの見方が示されました。

 しかしながら、やはり、とうもろこしの弱さは需要にあります。USDAでは17~18年度の総需要を前年度から4億ブッシェル減少した142億2,000万ブッシェルとしているのです。

 生産量の減少分が10億ブッシェルを超えるのに対し、需要の減少分は6億ブッシェル程度に留まるため、17~18年度に関しては需給は引き締まることが見込まれます。

 しかしながら、大豊作となった16~17年度からの繰り越し在庫を加えると、需要が予測した通りに伸びなければ在庫は積み上がる可能性すら出てくるのです。特に、昨年度は干ばつに見舞われた結果、生産量が落ち込んだブラジル、そして生産量の拡大に意欲的な取り組みを見せるアルゼンチンでの生産が順調に進行し、この両国からの輸出が活発化するようであれば、米国のとうもろこし輸出が圧迫される可能性も十分にあるのです。

 なお、期待が高まる米国でのエタノール生産用としてのとうもろこし需要の拡大についてですが、エタノール混合率が高くなればそれに向けたエタノールの輸送路の確保、高いエタノール混合率に対応できる自動車の整備、などが必要となり、エタノール混合率の引き上げは容易に行い得るものではありません。

 それだけに、エタノール生産用としてのとうもろこし需要の拡大を期待するには慎重な態度が求められそうです。

 トランプ政権によるエタノール政策が今後、どのような展開を見せるか注意する必要はありますが、エタノール混合率引き上げに伴う困難、とうもろこしの弱い需要を考慮すると、とうもろこし市場の価格上昇は一過性の動きにとどまる可能性が高いように思われます。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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