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追加利上げ観測高まりながらも金市場の底意が強い理由

 NY金は、1,250ドルが上値抵抗になりながらも、現地2月15日の取引において1,220ドルを割り込んだ後はすぐに買い戻されるなど、下落に対する強い抵抗を窺わせる動きが見られています。

 現地2月15日の取引において金価格が下押されたのは、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長による米上院銀行委員会での半期に一度の証言が背景となっています。

 今回の証言においてイエレンFRB議長は、今後の米国の見通しについては、"米経済は緩やかなペースでの拡大を継続する一方、雇用市場の情勢はさらに改善に向かうなか、インフレ率は緩やかながら2%に向けて上昇する"と予想していることを明らかにしました。

 また、金融緩和政策の解除を待ちすぎることに伴う将来的な急激な利上げの可能性に対して否定的な見方を示したほか、将来の見通しには不透明感が強いとしながらも、今後の連邦公開市場委員会(FOMC)において、経済情勢を評価し、雇用とインフレ率が見通しに沿って推移し続け、見通しとの整合性が認められれば金利引き上げに向かって動く、としています。

 同議長のこの発言は、これまでの追加利上げに対する慎重な姿勢に比べて追加利上げに積極的な見方を示した、とし、タカ派的に捉えられています。

 2016年には、追加利上げ観測が金市場において長きに渡って重石となり続けていたこともあり、今回のイエレン議長の証言が弱材料視されています。

 特に、昨年12月のFOMCにおいては2017年の追加利上げ実施回数は3回と見る向きが多かったこともあり、来る3月14~15日の次回の会合における追加利上げの可能性を探るうえで、同議長の証言が注目されていました。

 実際には、イエレン議長は3月の追加利上げの可能性や、今年の追加利上げの回数に関する言及は行っていないものの、金融緩和政策の解除を待ちすぎることは無い、と発言したことで、追加利上げ実施の可能性が意識されているのです。

 このような追加利上げの可能性が浮上した場合には、金価格はこれが弱材料となって下値を探る足取りを演じるのがこれまでの傾向でした。

 しかしながら、現在の金市場に関しては、前述のように現地2月15日の取引でこそ、下値を追う場面が見られたものの、その動きは一時的なものに過ぎませんでした。そればかりではありません。現地17日の取引では再び1,250ドルを目指す足取りを演じるなど、金市場の底固さを印象付ける動きが続いているのです。

 金市場の底意を支える要因として挙げられるのが、金金上場投資信託(ETF)市場で見られている、安全な投資先としての需要でしょう。

 世界最大規模の金ETFであるSPDRゴールドトラストの保有高の推移を見てみると、現地1月27日時点の保有高は、799トンまで減少していました。しかしながら、その後、2月に入ってからは急激な増加を見せ、現地2月21日時点の保有高は現地16日時点に比べて若干の減少が見られたとはいえ、841.17トンに達しています。

 米国での追加利上げの可能性が高まれば、将来的な価格下落の可能性も高まるため、通常の場合、資産価値を守るうえではイエレン議長のタカ派発言後には金を手放す動きが活発化することが見込まれます。

 しかしながら、イエレン議長の証言後にもかかわらず、金ETF残高が大きな落ち込みを見せていないのは、安全な投資先としての金を求める動きが根強いことを示唆していると考えられます。

 そして、その値動きを支持しているのが、米国でのトランプ政権に対する不安感、さらには選挙イヤーとなった欧州でのサプライズに対する警戒感と見られます。

 ちなみに、金ETF残高は英国での投票前の6月15日時点では900.75トンだった金ETF残高は、投票後もサプライズ的な買いが集まるなか、7月5日には982.72トンまで増加するなど昨年の英国でのEU離脱を巡る投票前後には大きな動きを見せていました。

 この金ETF残高の動きは、EU離脱派が勝利したことを受けた安全な投資先を求める動きが米国の追加利上げ懸念を上回っていたことを示唆しています。

 現在、欧州ではフランス大統領選の行方に対する警戒感が強まっています。極右のルペン氏の台頭により、英国、米国に続くサプライズの可能性が意識されているのです。

 ルペン氏が大統領選で勝利するようであれば、その影響はフランス国内にとどまらず、世界に広がると予測されることもあり、同国での大統領選が終了するまでは、懸念感から金を求める動きが継続的に見られることになるでしょう。

 トランプ大統領が新たな減税政策の発表を示唆するなど、米国では景気を刺激するための政策が発表され、これが株式市場の堅調な動きを支えています。このような動きは追加利上げ実施の可能性を押し上げる要因として弱材料視される傾向が強いと見られるものの、欧州情勢に対する警戒感が金への安全な投資意欲を刺激し続けていることもあって、NY金は引き続き高値圏での往来が続くことになりそうです。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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