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今春の米国の穀物作付けを考える

 2月を迎えたことで、米国の今春の穀物作付に対する意識が強まり始めています。米国農務省は3月末に今春の大豆、とうもろこしを主とする穀物の作付意向を発表します。

 穀物の生産量は、基本的には作付面積×イールドから割り出されることになります。実際には作付面積と収穫面積にわずかな差が生じますが、おおよその方向性を知るのであれば、作付面積を基にした計算で十分と考えられます。

 さて、それでは今春の米国の大豆、とうもろこし、それぞれの作付はどうなるのでしょうか。

 まず、2016~2017年度の動向を振り返ってみると、作付面積に関しては、1月発表時点の需給報告において、大豆8,340万エーカー、とうもろこし9,400万エーカーとなっています。

 ともに12月時点の予測からはわずかに下方修正されていますが、それでも大豆は過去最大、とうもろこしは2013~14年度、2012~13年度に次ぐ過去第3位の規模となっています。

 この大規模な作付面積は当然のことながら生産量にも影響し、それぞれの生産量は大豆が43億700万ブッシェル、とうもろこしが151億4,800万ブッシェルと共に過去最大に達しました。

 なお、2016~17年度は生育期間のほぼ全てを通して作柄の良~優の比率が70%を下回らないほどの良好な生育環境に恵まれたことが、大豊作が実現された一因にもなっています。

 大豊作は両穀物の需給改善を促す見通しとなっています。1月度の需給報告発表時点において16~17年度の期末在庫率は、大豆が前年度の5.0%から10.2%へ、とうもろこしが12.7%から16.1%へと大幅に改善することが見込まれています。

 ちなみに、大豆の期末在庫率が二桁台に達するのは、2006~07年度以来、また、とうもろこしの期末在庫率が適正とされる14~16%台に回復するのは2005~2006年度以来のことになります。

 このような大幅な供給量の回復が実現された2016~17年度に続く2017~2018年度の大豆、とうもろこしの作付面積はどのような傾向を見せるのでしょうか。

 現時点の状況からは、大豆に対して強い作付意欲が見られる可能性が高い、と考えられます。というのも、大豆の方がとうもろこしに比べて需給逼迫に対する警戒感が強いからです。

 前述のように、大豆、とうもろこしの16~17年度の期末在庫率は共に二桁台に達する見通しとなっています。それだけでなく、大豆に関しては、ブラジルの生産能力が大幅に伸びている影響で、米国は大豆輸出量においてブラジルに追いつかれたばかりか、年度によってはブラジルが世界最大の輸出量を記録する年も見受けられるようになってきました。

 これに対し、とうもろこしは世界輸出市場における米国のシェアは38%前後であるのに対し、ブラジルは世界第2位の輸出国ながらそのシェアは19%程度と、まだ米国の半分程度に過ぎません。

 つまり、世界規模で見ても大豆の生産量の伸びに勢いが感じられるのです。しかしながら、世界最大規模の輸出国であるブラジルの生産量が1億トンを越える規模に達し、同国が米国に肩を並べる輸出国に成長した結果、米国の大豆輸出が圧迫されると予測されるにもかかわらず、米国内の期末在庫率はようやく二桁に届く程度にまでしか伸びないのです。

 それほどまでに世界的に見ると大豆の需要が旺盛な状態にあると考えられるのです。その牽引役となっているのが中国です。

 ブラジルの大豆生産量が急激な成長を見せ始めたのは、農地改良が進んだ2000年以降です。その2000年当時の中国の大豆需要はUSDAによると、2,670万6,000トンでした。

 しかしながら、その後の経済成長とこれに伴う肉食文化の浸透に伴って同国の需要は急激な伸びを見せています。なお、2016~17年度の同国の大豆需要をUSDAは1億80万トンと予測しています。2000~01年度当時に比べて約3.8倍の伸びを見せていることになります。

 これに対し、同国の大豆生産量は減少傾向にあります。2005~06年度までは増加する需要に対応しようという意識が窺われ、国内大豆生産量は年々、成長していました。

 しかしながら、この年を境に中国の大豆生産量は減少に転じており、2016年~17年度の生産量は1,290万トンにとどまっています。同国のこれまで最大の大豆生産量は2004~05年度に記録した1,740万1,000トンでした。

 この間の減産量は450万トン程度ではありますが、一方、この間の需要は6,058万7,000トンの伸びを見せています。

 この中国国内の需要と生産量の推移からは、急激なペースで増え続ける需要に対し、国内生産での対応を諦め、輸入することによって供給を確保しようとする動きが鮮明に見えてきます。

 世界最大の消費国である中国が増え続ける需要を見せている結果、米国、ブラジルが共に大豊作になっても、期末在庫率で見るように大豆の方がとうもろこしよりも需給にひっぱく感が強い状況にあります。

 特に、世界最大規模の輸出国であるブラジル、米国のどちらかで天候不良に見舞われた場合、急激な需給の引き締まりを余儀なくされるという潜在的な懸念が根強いのが、大豆需給の特徴でしょう。

 同国の終わりの見えない大豆需要の成長と、これを受けた世界的な大豆需給の逼迫懸念は、大豆ととうもろこしの価格比にも現れています。

 もともと大豆ととうもろこしの価格比は2.3前後程度が均衡した水準と考えられてます。しかしながら、2016~17年度は米国では大豆、とうもろこしが共に大豊作となったにもかかわらず、価格比は約2.8での推移が続いています。つまり、大豆がとうもろこしに比べて割高な状態が続いているのです。

 米国が過去最大、そしてブラジルも過去最大の生産量を実現する可能性が高いにもかかわらず、中国の旺盛な需要が世界需給を逼迫させる主因として存在し続けることが見込まれる以上、大豆が割高な状態が続いてもおかしくはありません。

 世界、そして米国の需給状況に加え、中国の旺盛な需要、そしてこれが大豆の割高感を強めている現状、から考慮すると、中国経済に対する不安感とこれに伴う同国の大豆需要の減少観測が浮上しない限り、今春、米国では大豆に対する強い作付意欲が見られることになりそうです。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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