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アルゼンチンの豪雨が与える影響で気を付けたいこと

シカゴとうもろこし市場では現地17日の取引において大きく値を伸ばす場面が見られました。この日、中心限月の3月限は前日より7セント上昇し、365.50セントで取引を終えています。18日は362.75セントまで修正安となりましたが、365セントに戻し、押し目買い意欲の強さが感じられました。

同様に、シカゴ大豆市場も大きく上昇する場面が見られており、現地17日における中心限月3月限の終値は前日より23セント高の1,069.25セントに達しています。18日もその勢いを引き継ぎ、1080セントまで上値を伸ばしました。

シカゴ大豆価格は現地1月12日の取引より上値を追う足取りを演じていますが、12日の始まりが1009.75セントだったため、12日、13日、17日の3営業日で上げ幅は59.5セントに達したことになります。

また、とうもろこし価格の場合、中心限月の終値が365セントを超えたのは、昨年6月末以来、およそ6か月半ぶりのこととなります。つまり、16~17年度の米国のとうもろこし生産量が過去最大に達するとの見方が強まって以来、初めてのことになるのです。

このような大豆、そしてとうもろこしの価格上昇の背景は、現在生育期を迎えているアルゼンチンでの天候不良が背景となっています。

アルゼンチンでは中部地帯を中心に、昨年末から豪雨が降り続いており、一部地域では洪水や冠水が伝えられています。同国は南米第2位の穀物輸出国ですが、現在、大豆もとうもろこしも共に生育中であるなかで洪水や冠水が発生し、16~17年度の生産量にマイナスの影響を与えるとの懸念が強まっていることが、大豆、とうもろこし市場での価格上昇を促しているのです。

なお、米国農務省では16~17年度のアルゼンチンの大豆生産量は前年度の5,680万トンから5,700万トンへ、そしてとうもろこし生産量は前年度の2,900万トンから3,650万トンへと増加すると予測しています。

一方、この年度の同国の大豆輸出量は前年度の992万トンから900万トンへと減少すると予測される一方、とうもろこし輸出量は前年度の2,170万トンから2,500万トンへと増加するとUSDAは見込んでいます。

しかしながら、収穫が開始する前に天候不良に見舞われたことにより、生産量、輸出量共に予測を下回ってくるリスクが高まっています。

とはいえ、生育開始の時期の違い、そして洪水に対する耐性の違いもあり、洪水や冠水の影響が大豆、とうもろこしの生育に同様の影響を与えるわけではありません。そのため、それぞれの穀物に対しても異なるレベルで警戒をしておく必要があるように思われます。

それでは、現在のアルゼンチンの大豆、とうもろこし、それぞれの状況を見てみると、16~17年度は作付が順調に開始したこともあり、現在、とうもろこしは開花~受粉の時期を終えつつあります。つまり、背丈が十分に成長しているため、洪水、冠水に見舞われていても苗が水没することはなく、質の低下の可能性が残されているとはいえ、生産量に大きく落ち込むほどの影響はないと考えられます。

また、早播種よりも遅い時期に作付が行われる後播種とうもろこしに関しても、そのほとんどが北部で生産されており、洪水や冠水が発生している地域からは外れていることも、とうもろこし生産量に今回の洪水や冠水が影響を与える可能性が低いと考えられる根拠となっています。

これに対し、大豆の場合、とうもろこしよりも遅い時期に作付が開始していることに加え、背丈が低く洪水、冠水の影響で水没する可能性が高いことが、ダメージを大きくすると考えられます。

さらに、洪水や冠水が発生している場所は、アルゼンチンの主要大豆産地であることが、同国の大豆生産量への豪雨の影響をより深刻なものにする可能性を高めています。

大豆生産量への影響の方が大きいと考えられる根拠として、アルゼンチン農務省の見解も挙げられます。

同省は豪雨による被害の大きいサンタフェ州の農地230万ヘクタールのうち、約64万ヘクタールの大豆農地で被害が発生するとの見方を示しました。これに対し被害を受けているとうもろこし農地は22万8,000ヘクタールとされており、大豆に比べて比較的限られているとの見方を示しています。

実際には、現在アルゼンチンの洪水、冠水はその真っただ中にあり、今後も天候不良が長引く可能性が残されています。そのため、今後、状況がさらに悪化する可能性を考慮しておく必要はあるでしょう。

しかしながら、豪雨が中部地域に集中して居る限り、その影響が大豆、とうもろこしの生産量に与える度合いはそれぞれ異なっている点には注意が必要です。


なお、穀物市場においてはもう一点、需要面の違いを改めて認識しておく必要があるでしょう。というのも、先週発表された米国農務省(USDA)による米国内四半期在庫報告において、大豆在庫量は事前予測の29.35億ブッシェルを下回る28億9,500万ブッシェルにとどまったのに対し、とうもろこし在庫量は事前予測の123億ブッシェルを上回る123億8,400万ブッシェルだったからです。

つまり、大豆の需要は強い一方、とうもろこしの需要は大豆に比して弱い状況が浮き彫りになっているのです。

今後、アルゼンチンの豪雨がどれだけ長引くのは、そして豪雨の発生する位置に変化があるのか、という点には注意が必要です。しかしながら、豪雨発生地からは大豆生産への影響が大きいと考えられること、そして、USDAの報告からは大豆の需要の方がとうもろこしよりも強いことが確認出来るという現状が、大豆ととうもろこし、それぞれの市場に与える影響の度合いが異なってくる可能性が高いことを示唆しているのではないでしょうか。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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