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産油国の方針転換は2017年のエネルギー市場にどの程度の影響を与えるのか

 2017年を迎えて10日以上が過ぎるなか、高もみ場面を演じていたNY原油はここに来て急落場面を演じています。

 昨年はOPECの減産合意がサプライズとなるなか年末にかけて上値追い場面を演じ、2016年末となる現地12月30日の取引を53.72ドルで終えていたNY原油ですが、この急落は何を意味し、また産油国の方針転換は今後のNY原油にも影響を与え続けることが出来るのでしょうか。

 まず、産油国の動向から振り返ってみましょう。世界的に原油価格はシェール革命以降、世界的に供給量が大幅に拡大した結果、世界の石油需給が緩み、上値を抑えられる展開が続いていました。

 しかしながら、長引く価格の低迷を脱するために石油輸出国機構(OPEC)が現地11月30日にウィーンで開催していた総会で2008年以来、初めての減産合意に至りました。特に、サウジアラビアとイランが対立を超えて減産に合意に至ったことは、市場にとっては強気のサプライズとなりました。
 
 この時にOPECは全体の生産量を日量3250万バレルと10月時点から120万バレル減らすことを決定しています。

 また、このOPECの決定に続き、12月10日にはOPECと主要産油国であるロシアを含めた非加盟国との間でも15年ぶりの協調減産で合意に至っています。その結果、非OPEC加盟国全体では1日当たり55.6g万バレルの減産が実施されるとの方針が決定されました。これにより、OPECおよび非OPEC加盟国の減産量の合計は、世界全体のおよそ2%に達することになったのです。

 この主要生産国による協調減産を受けて、世界的にエネルギー需給が引き締まるとの見方が強まった結果、年末にかけてエネルギー価格は上昇し、年末の取引を53.72ドルと、OPEC間の減産合意直前となる現地11月29日の終値45.23ドルを8.49ドル上回る水準で終えました。

 2017年もエネルギー市場では、このOPECと非OPEC加盟国の減産が最も注目される要因となるなかでの推移が続くと見られます。特に注目されるのが、実際に減産を遵守できるかどうか、でしょう。

 昨年11月30日、そして12月10日の合意事項によると、OPECの減産分が10月時点から120万バレル、そして非OPEC加盟国全体で55.8万バレルが予定されています。つまり、OPECと非OPECを合わせて、175.8万バレルの減産が見込まれることになります。

 この産油量削減は今年1月1日から開始され、産油量削減を受けた需給引き締まり観測は、年初の取引においてNY原油を55.24ドルまで引き上げました。しかしながら、その後は底固い足取りを見せたのもつかの間、現地1月9日、10日と続落場面を演じ、現地10日には50.71ドルと50ドル割れ直前まで値を落としたのです。

 この大幅な下落の背景となっていたのは、イラクの石油輸出量の増加でした。現地9日、イラク石油省は昨年12月のイラク南部に位置するバスラ港からの原油輸出量は1日当たり351万バレルと、過去最高に達したことを明らかにしました。

 イラクはもともと、協調減産には消極的な姿勢を見せていました。しかしながら、OPEC、非OPECが手を取り合って世界の石油供給超過という現状に立ち向かう姿勢を見せているにもかかわらず、輸出量を拡大させていたことは、減産決定を行った産油国全体に対する懐疑的な見方を強めています。

 なお、イラクのルアイビ石油相は現地5日には減産合意に基づいた産油量削減を実施したと発表したにもかかわらず、一方の輸出計画においては削減は行われない見通しが維持されています。これを受けて、同国の減産合意遵守に対しては厳しい見方をせざるを得ないという産油国の減産遵守に否定的な声が挙がっています。

 とはいえ、イラクの輸出量増加に関しては、減産合意前に駆け込みで産油量を引き上げた結果、国内に大量の在庫を抱えていることが背景になっているとも考えられます。

 それが原因であれば、当面、イラクは高い水準での原油輸出を続けるものの、合意に基づいた減産が遵守されるのであれば、国内在庫を消化した後には輸出量も減少に向かうことが予想されます。

 現時点では輸出計画が変更されていないのは、国内在庫がいつ引き締まりに転じるか、という見通しが立たないことの現れとも言え、実際にイラクの減産が確認できるのであれば、同国の輸出増加が市場に与える影響も限定されることになるでしょう。

 一方、非OPEC加盟国の中で減産遵守に積極的な姿勢を見せているのが、ロシアです。ロシアエネルギー省は1月1日から8日のロシアの原油と液化天然ガスの生産量は計1,110万バレル(日量)で、12月時点の1,121万バレルからは11万バレル、そして10月時点の1,124万7,000バレルからは14万バレルの減産を実施していることを明らかにしました。

 このように非OPEC加盟国であり、かつ世界の主要産油国であるロシアは産油量を減産していることを明らかにすることで、減産合意に至った産油国が合意を遵守する姿勢であることが強く印象づいた感があります。

 減産実施からわずか11日が過ぎた頃であり、OPEC並びに非OPEC加盟国がどの程度、減産を遵守してくるかが注目されるところですが、減産はまだ始まったばかりとも言えます。

 OPEC加盟国、そして非OPEC加盟国の減産遵守に対しては否定的、肯定的な見方がそれぞれありますが、OPEC加盟国、そして非OPEC加盟国内にとどまっている石油在庫が消化されるまでは、減産遵守が世界の石油需給引き締まりに結びつく流れに不透明感が強い状況が続くでしょう。

 現在は、OPEC加盟国、非加盟国が足並みを揃えて実際に減産を実施できるのかどうかが問われている時期であり、目先は否定的な見方と肯定的な見方に挟まれての高下が続くと予想されます。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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