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2016年の動きから予測する2017年度の金市場の動き

2016年はNY金にとって大きな転換点となる年になりました。年初の取引を低調で開始した後は夏場にかけて大きく値位置を切り上げ、年初の水準に比べて約300ドルの上げ幅を記録しながらも、その後は地合いを崩して年初の水準で取引を終えつつあります。

このように1年をかけて大きな山場を演じた2016年の金市場の動きはどのような要因が背景となっており、2017年の金市場の動きにどのようにつながっていくのでしょうか。

金市場の動きに変化をもたらす要因を一言でいえば、米国の金融政策の転換、です。2016年の金市場の動きは米国の金融政策が転換に向かっていることが、如実に反映された動きといえるでしょう。

それではこの1年、金市場がどのような動きを見せたか、振り返ってみましょう。

年明けの取引は1,061.50ドルで幕を開けました。これは、その直前の2015年12月15日~16日(現地時間)に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)において、連邦準備制度理事会(FRB)は2006年以来、約10年ぶりに0.25%の政策金利引き上げを決定したことが原因となっていました。

この2015年末に決定された10年ぶりとなるFRBによる追加利上げは、米国の金融政策がそれまでの金融緩和から金融引き締めへと方向性が大きく転じたことを意味しています。

しかしながら、追加利上げ実施の決定要因として労働市場の改善と物価の政策目標に向けた上昇に対する合理的な革新、を挙げていたにもかかわらず、2015年12月当時に追加利上げが決定された際には、FRBが物価の見通しを下方修正していていました。このことが、2016年内の追加利上げに対する思惑が積極派と消極派に分かれてしまう原因となったのです。

特にFRBの米国経済に対する必ずしも強気ではないとの見方は、米国だけが追加利上げを実施すればドル高は避けられず、このドル高に持ちこたえられるだけ米国経済が回復しているとの確信が得られない、との見方を強め、これが追加利上げ消極派を後押しする要因になっていたのです。

また、同時にサウジ・アラビア、バーレーンの両国によるイランとの断交を受けた中東情勢に対する警戒感の高まり、そして中国の景気減速という材料が浮上したことで、安全な投資先としての金需要増加に対する期待、そして中国、欧州の景気低迷に対する警戒感が強まりました。

追加利上げが実施されながらも、FRBの追加利上げに対する消極的な姿勢と6月の追加利上げ見送り、そして中国、欧州経済に対する警戒感が合いまって、金市場には買いの手が集まり、夏場にかけての上昇場面が形成されたのです。

しかしながら、夏に入ってからはFRB内から追加利上げに対する積極的な発言が相次いで聞かれるようになり、さらには複数のメンバーが追加利上げに言及するに至ったことが、年内の追加利上げ観測を強め、これが年末にかけて金価格を下押しする主因となりました。

実際、FRBは2016年12月13日~14日(現地時間)に開催されたFOMCにおいて1年ぶりに追加利上げを決定したのです。しかしながら、同じく利上げが実施された1年前と決定的に違うのは、FRBの追加利上げに対する市場の見方です。

FRBでは依然として金融政策は緩和的であるほか、更なる雇用改善や物価の2%への上昇を支える姿勢であることを強調しています。しかしながら、決定的に異なるのが、2017年のFF金利の予想値が9月時点の1.125%から1.375%へと0.25%の引き上げが行われた点です。

つまり、2017年の追加利上げ回数が、9月時点の予測2回から3回へと引き上げられたことが明らかになったのです。

これに加え、来年1月には米国で新政権が誕生し、これに伴って米国の金融政策が大きく影響を受ける可能性が高まっているという点です。

1月に大統領に就任するトランプ氏が掲げている政策は、減税、インフラ投資の拡大、そして貿易関税とインフレを支持する内容が多く見られます。そのため新政権の政策によって物価の上昇を引き起こせば、FRBの金融引き締めに対する姿勢が一段と強まることが予想され、これが金市場から資金が流出する動きを生みだしているのです。


金価格が下落する途上では、値ごろ感から実需が拡大しこれが価格をサポートする要因になってくることが見込まれます。しかしながら、現在の価格低迷期においては、実需に盛り上がりが見られません。

世界最大の消費国である中国では外貨流出を警戒して金の輸入規制を実施している可能性があることが伝えられているうえ、インド政府も同様に金輸入に規制を設けているようです。これらの2大消費国からの需要拡大を期待するのが難しいでしょう。また、このような需要の低迷見通しが、さらに買い意欲を削ぐという悪循環に陥っているとさえ考えられるのです。

金上場投資信託(ETF)市場においても、金離れの動きが顕著です。特に米大統領選後の減少は急激で、大統領選直後となる11月9日時点の残高は955トンだったにもかかわらず、直近の現地27日の残高は823.36トンまで縮小しています。

つまり、現在の金市場は、追加利上げ見通しが強いことが重石となって価格が低迷しながらも実需は盛り上がらず、価格の上昇が見込めない状況では投資用需要の拡大も難しい状況の中にあるわけです。

このようななか、価格の上昇を見込むとすれば、トランプ氏によるドル高への否定的な言及、そして欧州の選挙が挙げられます。

特に、欧州では3月にオランダ総選挙、4月にフランス大統領選、6月にフランス国民議会選挙、と重要な選挙が控えています。移民問題が深刻の様相を見せるなか新たな勢力が台頭し、英国のEU離脱、米国でのトランプ氏勝利、といった予想外の結果がもたらされる可能性があります。

2016年に台頭した米国の金融引き締め政策への転換、トランプ氏の大統領選勝利という2大要因は、米国での追加利上げ政策に対する注目を集める要因となると同時に、2017年も金価格を抑制する主因となってくるでしょう。そのような中、価格の上昇を促す要因となる可能性がある欧州の政治情勢には注目しておきたいところです。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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