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底もみの続く金市場のこれからを考える

NY金市場では、1,150ドルを下回る水準での高下が続いています。この水準でNY金が推移するのは今年1月下旬以来となります。今年に入ってからNY金は、夏場にかけて上昇トレンドを描き、1,350ドルを超える水準まで値位置を切り上げていました。

しかしながら、8月以降、連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーから追加利上げに前向きな発言が聞かれるようになりました。これを受けて、年内に追加利上げが実施される可能性が高まったとの見方が広まり、これが弱材料となるなか金市場の地合いは軟化したのはすでに知られている通りです。

このように追加利上げ観測が強まるなかで12月13日~14日に開催された年内最後のFOMCでは、とうとう追加利上げ実施が決定されました。これがきっかけとなってNY金はそれまでの下値サポートとなっていた1,150ドルを下回る水準まで値を落としています。つまり、今年上半期にかけて形成した上げ幅を下半期ですべて相殺する動きを金市場では演じたことになります。

これまでの経験からすると、価格が下落したところではインドや中国といった主要消費国からの実需が活発化し、これが価格をサポートする要因になってくる傾向がありました。

しかしながら、今年に関しては値ごろ感からの買いは停滞した状態が続いており、しかもそれが活発化するかどうかの見通しもつかないのが実情、つまりしばらくの間は価格上昇の可能性を見込むのが難しい状態となっているのです。

その理由として挙げられるのが、米国の追加利上げは単発で終わるものではなく、今後も引き続き行われる政策である点です。

今回のFOMCにおいて2017年の追加利上げ実施見通しが、これまでの2回から3.2回に引き上げられました。これは連邦準備制度理事会(FRB)が米国経済に対して、これまで考えられていたよりも前向きに評価していることを示唆しています。

また、現在見込まれている3回の追加利上げ、というのはあくまでも来年だけの見通しです。米国の景気次第では、再来年以降も追加利上げが実施される可能性がある、つまり、今回の追加利上げはこれから本格化する追加利上げのスタートを意味していると捉えることができ、それが故、今後しばらくの間の金融環境は金市場にとっては不利な状況が続く可能性が高い、と考えることが出来るのです。

市場でもすでに見られているように、米国で利上げが実施されれば、これに伴って米国債や米ドルなど、利上げによって利益が生み出される債券、通貨などへと資金が流れる一方、金利を産まないとされる金に対する投資意欲は減退します。

この状況を示しているのが金ETF残高の推移です。金ETF銘柄のうち、最も規模の大きいNY/SPDRは、今年7月5日には982.72トンまで残高が拡大していました。しかしながら、その後は米国の追加利上げ観測が強まるに従って減少傾向の一途を辿り、現地12月19日、20日時点では828.10トンまで縮小しています。

ちなみに、12月の追加利上げ決定直前となる12月13日時点の残高が856.26トンだったため、この4営業日で28.16トンもの縮小を記録したことになるわけです。

ここまで価格が下落した場合、値ごろ感から実需が高まることも想定されます。しかしながら、中国では金輸入規制が強化された、と複数のメディアが伝えていることもあり、同国の金輸入量の拡大を期待するのも難しいのが現状となっています。

特に、今後の追加利上げ見通しは金の先安観が強めています。将来的な価格下落が見込まれる資産への投資は避けられる可能性が高く、これが実需の盛り上がりを削ぐ一因にもなっているのです。

2017年は欧州で重要な選挙を控えています。そのため、欧州の選挙状況次第では、トランプ相場に見られたようなリスクに備えた逃避買い需要が見られる可能性もないわけではありません。

しかしながら、金市場の重石となる要因となる米国の追加利上げが今後も実施され続ける可能性が意識される中では、金を買い進む動きが限定されるのは当然のことと見られ、それだけに、金価格も長期低迷を余儀なくされることになりそうです。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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