FX外国為替情報のKlug(クルーク)
為替、海外投資でハイリターンを得るためのニュース、レポート、コラムを掲載

USDA需給報告で示された弱材料とは

現地12月9日に、米国農務省(USDA)は最新の需給報告を発表しました。今回の発表は米国ではすでに収穫を終えた後での発表になります。そのため、事前に米国の生産量に大幅な修正が出る可能性は低いことが見込まれる一方、現在生育途中となっている南米の需給見通しがどうなるか、が注目されていました。

実際にどのような予測が発表されたかを改めて振り返ってみると、2016~17年度の米国内の大豆需給の場合、生産量、輸出量、国内需要、期末在庫率はすべて前月に据え置かれました。

その一方で、世界需給に関しては、生産量が前月予測の3億3,609万トンから3億3,800万トンへと、1億9,100万トンの引き上げられたものの、需要は1億4,000万トンの引き上げにとどまったため、期末在庫量は前月予測の8,153万トンから8,285万トンへ、そして期末在庫率は前月予測の24.80%から25.10%への上方修正となっています。

つまり、世界的に見ると大豆需給が緩和する可能性があると現時点では判断できることをUSDAは示したわけです。

しかしながら、今回の修正は米国内外で需給緩和が進む可能性が見込まれるというこれまでの流れに沿った修正といえ、市場に大きなサプライズをもたらすものではありませんでした。

とはいえ、だからといって、全くの材料にならない、というわけではありません。というのも、今回の需給報告には今後、シカゴ市場の大豆価格に影響を与えかねない注目しておきたいポイントが含まれているからです。

それは、米国の大豆輸出見通しです。前述のように、今回の需給報告では、2016~17年度の米国内の需給見通しはすべての項目に渡って据え置かれ、輸出見通しもその中に含まれているのです。ここが注目すべきポイントと考えられるのです。

というのも、2016~2017穀物年度入りして以降、米国の大豆輸出は好調を維持しており、好調な大豆の輸出がシカゴ大豆市場では買い支援材料になっているにもかかわらず、年間を通しての輸出見通しが据え置かれているからです。

それでは、2016~17年度の米国の大豆輸出状況を見てみましょう。USDAの発表によると、12月1日までの2016~17年度分の大豆輸出成約高は前年同時期の3,408万500トンを大幅に上回る4,316万トンに達しています。

特に最大の輸出相手先国である中国への輸出が好調です。同じくUSDAによると、12月第1週目時点の輸出成約高は前年同時期の1,495万3,259トンを大幅に上回る、1,985万1,135トンでした。

このように中国が旺盛な需要を見せているのは、国内消費量の急増が背景にあると考えられます。

というのも、中国の2016~17年度の大豆生産量は前年度の1,179万トンから1,250万トンへと増加する見通しながら、国内消費量は前年度の9,500万トンから1億80万トンへと580万トンもの拡大が見込まれるなど、生産量の増加幅を大きく上回る成長を見せると予測されているのです。

そのため、今後も急成長を続ける国内需要に対応すべく、中国の旺盛な大豆輸入は続くと考えられるのですが、それにもかかわらず、USDAは米国の大豆輸出見通しを据え置いているのです。

その理由として考えられるのが、中国の需要が南米産へとシフトする可能性です。

現在、ブラジル、アルゼンチンら南米の主要大豆生産国は大豆生育の真っただ中にあります。また、現時点では懸念すべきほどの天候不良は伝えられていません。

USDAでは、この両国の16~17年度の大豆生産量をアルゼンチンが5,700万トン、ブラジルが1億200万トンに達すると予測しています。いずれも前年度のそれぞれの生産量である5,680万トン、9,650万トンを上回る増産見通しとなって
いるのです。

アルゼンチンの場合、増産となっても輸出量は前年度の992万トンから900万トンに減少することが予測されていますが、ブラジルの輸出量は前年度の5,438万トンから5,840万トンへと大きく拡大する見通しとなっています。これは米国の輸出量5,579万トンを上回るものです。

これらのことから、USDAが想定しているのは、現時点で輸出が好調でも南米の輸出が本格化する時期を迎えると米国の大豆輸出は圧迫されることになる、ことであり、これが輸出量予測の据え置き、という形で現れていると考えられます。

米国の大豆輸出の圧迫要因となり得るのは南米の大豊作だけではありません。トランプ氏の大統領選勝利以降、トランプ体制に対する期待の高まりや、米国内での追加利上げの可能性を受けてドル高レアル安が進行していることで南米産大豆に対する割安感が強まっていることも、米国の大豆輸出にとっては弱材料でしょう。

シカゴ大豆価格は、現在は好調な大豆輸出が買い支援材料となって1,000セント台での推移が続いています。しかしながら、USDAが予測するように南米で天候不良が生じない限り、米国の大豆輸出の今後の見通しは先細りであり、今後はこれが価格を圧迫する要因になってくる可能性もあると見られます。

【ご注意】本ブログに掲載されている情報の著作権は株式会社日本先物情報ネットワークに帰属し、本ブログに記載されている情報を株式会社日本先物情報ネットワークの許可無しに転用、複製、複写することはできません。

平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

メールマガジン

山岡和雅が毎日発行!
外国為替ディーラーの心の中

毎日の為替相場を、市場参加者の目を通して判り易く解説。為替ディーラーの本音は?【まぐまぐ殿堂入り】

バックナンバー

朝刊 ニューヨーク為替市場レポート
米国市場の動きを、朝一番に配信!! FX、外国為替、米国株、米国金利など、テレビやWEBサイトでは得られないニューヨーク金融市場情報のほか、アナリストの独自解説も配信します。

バックナンバー

powered byまぐまぐトップページへ

URL変更のお知らせ

KlugFXのURLはhttp://klug-fx.jpへ変更となります。お気に入りやブックマークなどに登録されているご利用者さまは、お手数ですが下記の新URLへの変更をお願いいたします。

http://klug-fx.jp