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強い足取りを見せるとうもろこし市場で気を付けたいこと

シカゴ市場ではとうもろこし価格が底意の強さを窺わせる足取りを演じています。現地14日の取引で中心限月の3月限は335.50セントまで値を落としましたが、その後は反発に転じました。
 
反発後もしばらくは上値を追う足取りを継続し、28日の取引では362.50セントまで値を伸ばしています。この日、358.25セントで取引を終え、その翌日には急反落に転じていますが、終値は349セントで、350セントを大きく下回ることに対する抵抗を窺わせる動きを見せました。

このようなコーン市場の強気な足取りは、小麦価格の上昇と来年度の作付見通しが背景となっています。

小麦市場では米国の冬小麦作付面積面積がこれまでの予測3,542万エーカーから3,376万エーカーに下方修正されたほか、米国のプレーン南部において土壌水分不足となっていることが、今冬の小麦生育不安を強めたことが買い支援材料となっています。

これがとうもろこし市場になぜ影響するのか、というと、小麦の生産量が減少すれば飼料用としてのとうもろこしの代替需要が拡大すると予想されるからです。そのため、小麦価格ととうもろこし市場はおおよその場合において連動して推移する傾向があり、今回の上昇も同様でした。

また、とうもろこし独自の要因である来春のとうもろこし作付面積の縮小予測ですが、調査会社であるンフォーマ社は、来年の米国コーン作付面積見通しをこれまでの予測から13万エーカー縮小した9,084万エーカーとする予測を新たに発表しました。

今年の大豊作を受けて米国内外で需給緩和が進む結果、とうもろこし価格が低迷し、これが農家の作付意欲を後退させる、という一連の流れが描かれたことになります。

ちなみに今春の作付面積は9,450万エーカーでした。そのため、現時点で予測されている来春の作付面積は前年度比で366万エーカー縮小することになります。

このような供給面での材料に加え、需要面でも買い支援材料が浮上したことも、とうもろこし市場にとって心理面を強気にしていると見られます。

その需要面での買い支援材料と見られるのが、現地11月23日に発表された米環境保護局(EPA)による2017年度再生可能燃料(Renewable Fuel)の使用義務量の引き上げです。今回の発表において2017年使用義務量は16年の181億1,000万ガロンから192億8,000万ガロンに引き上げました。これは前年度を11億7,000万ガロン上回る量となります。

再生可能燃料の使用義務量が引き上げは、エタノール生産用としてのコーン消費量が拡大する観測を強める一因になり、とうもろこし市場における需要面からの買い支援材料と考えられるかもしれません。

しかしながら、実際にはこの再生可能燃料の使用義務を完全に消化することは困難と見られ、同時に、エタノール生産用としてのコーン消費量も拡大という予測を達成することは難しいと考えられるのです。

というのも、再生可能燃料の使用義務量が米国の実体に沿ったものではないからです。

192億8,000万ガロンという2017年の使用義務量を1日当たりの消費量にバレル換算すると126万バレルとなります。これに対し、2017年度の米国の1日当たりのガソリン需要量を米国エネルギー情報局(EIA)は937万バレルと予測しています。

ここで気を付けたいのが、再生可能燃料にはガソリンに対する混合比率が存在する点です。再生可能燃料はあくまでも補助的な燃料であり、ガソリンを完全に代替するものではありません。そのため、混合する際の比率の上限は10%と定められているのです。

そのため、1日当たり126万バレルという設定された使用義務量を消化するのであれば、米国のガソリン消費量は1日あたり1,260万バレルに達する必要があるのです。

このような飛躍的な需要の伸びは到底、想定の範囲内とは言えるものではなく、ここに米国の実態と再生可能燃料政策とのギャップが見受けられるのです。つまり、再生可能燃料の引き上げを根拠としたエタノール生産用としてのコーン需要の大幅な拡大は実現不可能な絵空事と言ってもおかしくはないでしょう。

また、前述のように来春の米とうもろこし作付面積が縮小したとしても、今年度のように天候に恵まれれば過去第2位の生産量となる146億余ブッシェルの生産量が示現されることになります。

さらに、南米諸国での生育はブラジル南部地域の乾燥が伝えられているとはいえ、天候不良が原因となっての減産見通しはまだ本格的に見込まれている状況ではなく、依然としてアルゼンチン、ブラジルの両国では大幅な増産になると予測されています。

今後、南米諸国からの供給が開始されるようであれば、これが米国の輸出を圧迫してくることは容易に想像できます。

小麦市場の価格の上昇は、とうもろこし市場をけん引するほどの影響を持ち、これに伴ってとうもろこし市場も堅調な足取りを演じてきました。しかしながら、とうもろこし独自の需給はこの価格上昇を長きに渡って支えるほどの影響には乏しいのが実情と見られます。現在は地合いの強まりを感じさせるとうもろこし市場の足取りではありますが、このような弱材料を抱えている点を留意しておきたいところです。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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