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エネルギー市場の上値を抑制しかねない2つの要因

ニューヨークエネルギー市場では、WTI原油が底意の強い足取りを見せています。サンクスギビングデーの休日の前営業日となる現地23日の取引では0.7ドル安の47.96ドルで取引を終えているものの、43.32ドルで引けていた現地14日の取引以降は上値を追う足取りを見せて一時は48ドルを突破するなど、44ドル割れに対する抵抗の強さを感じさせる動きといえるでしょう。

このようなWTI原油価格上昇の一因となっているのが、OPECの減産合意の可能性です。

OPECは現地30日に総会を開催しますが、現在はこの総会を前にして専門家会議において総会においてどのような協議が行われるかが話し合われています。その席では、アルジェリアによるリビアとナイジェリア以外の全加盟国が4.0~4.5%の産油量縮小を実施するという提案が話し合われ、これによりOPECの産油量縮小が実現するのではないか、との見方が高まっているのです。

さらに、23日にはイラクのアバディ首相が、石油輸出国機構(OPEC)が最終合意の取り付けを目指す産油量の縮小に関し、「イラクはその一部の責任を持つ」と語り、産油量の縮小受け入れの意向を明らかにしたことも、エネルギー市場の強気材料となっています。

実際には30日開催の総会においてこの減産案が最終合意に至るかどうか、不明な点が強いのが事実です。しかしながら、これまでOPEC内から減産の声が挙がりながらも、経済制裁を解かれたばかりで国内経済の立て直しが急務となるなか減産合意に対して消極的な姿勢を見せていたイラクが、ここに来て減産合意受け入れの意向を明らかにしたことは、産油量削減に向けて大きく前進したと言えるでしょう。

このようなイラクの姿勢を受けてOPECの減産合意に対する期待が高まる一方で、エネルギー市場にとっては弱材料になりかねない報が伝えられています。

それは、米環境保護局(EPA)による、再生可能燃料基準(RFS)の引き上げです。

現地11月23日にEPAは2016年度、2017年度の再生可能燃料使用義務量をそれぞれ181億1,000万バレル、192億8,000万ガロンに設定したことを発表しました。

これまでのRFSの推移を見てみると、2014年度が162億8,000万ガロン、2015年度が169億3,000万ガロン、2016年度が181億1,000万ガロン、そして2017年度が192億8,000万ガロンとなっています。

つまり、2014年度から2015年度にかけては年間で前年度比7,500万ガロンの増加と伸び悩んでいたRFSが2016年度に同11.8億ガロンもの拡大を見せたばかりか、2017年度の増加幅も11億7,000万ガロンと、同程度の高い伸びを維持するとの見方が示されたわけです。

再生可能燃料とは、とうもろこしやセルロースなどが原料となっています。EPAという環境に関わる政府部門がRFSを設定していることから分かるように、再生可能燃料の利用は環境面、そして米国の他国への石油依存度の軽減を目的として進められてきました。

今回、そのRFSが引き上げられた根拠としてEPAでは、2017年度の米国内ガソリン需要予測が引き上げられていることを挙げています。しかしながら、米エネルギー省(EIA)の予測では、2017年度の米国内ガソリン需要(1日当たり)はこれまでの予測931万バレルから僅か6万バレルの引き上げに留まる937万バレルとなっ
ているのです。

これに対し、EPAによるRFSの引き上げ幅は11億7,000万ガロン、1日当たりで換算すると約7万6,000バレルの引き上げとなっているのです。これはEIAによる1日当たりのガソリン需要の上方修正幅を上回る量となります。

つまり、見込まれている米国の需要増加量を上回るRFSの引き上げにより、石油の需要が圧迫される可能性、または再生可能燃料を混合した石油製品を生産するためのコスト高に見舞われる可能性があり、これがエネルギー需給のさらなる緩和、もしくは石油業者にとっての収益圧迫要因になってくる可能性があるのです。

なお、2017年度のRFSの大幅な増加見通しは、米国内のとうもろこし大豊作も一因になっていると思われます。そのため、エタノール生産用需要が拡大するという見通しが高まることになり、とうもろこし市場にとっては買い支援材料になる可能性があります。

しかしながら、エネルギー市場においては潤沢な需給状況がさらに進行する可能性があることを意味しており、30日のOPEC総会において減産の最終合意に至ることが出来なければ、さらなる低迷場面を余儀なくされることになりそうです。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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