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次第に高まる大豆市場の基調軟化の可能性

米国大統領選挙の投開票が行われた11月7日の週は、あらゆる金融市場で価格が大きく高下する場面が見られました。

シカゴ大豆市場も例にもれません。大統領選の投開票日直前となる11月8日には中心限月の1月限は一時、1020.75セントまで値を伸ばした後、1011.25セントで取引を終えています。しかしながら、大統領選の結果が明らかとなった翌日の取引における終値は20.25セント安の991セントを記録するなど、大幅安場面を演じています。

その後は修正を挟みながらも現地11日の取引では再び値を落として986セントの終値を付けています。今週に入ってからは、前週の大きな波を織り込み感が強まっていることもあり、970セントを下値サポートにしての推移が続いています。

しかしながら、現時点でこそ底意の強さを感じさせる動きを見せている大豆市場ですが、今後は地合いが次第に軟化してくる可能性が高いと考えられます。

その理由の一つとして挙げられるのが、米国需給報告の内容です。

米国大統領選の投開票に重なる現地11月9日に発表された需給報告は、影響の大きかった大統領選の当開票の結果にやや隠れてしまった感がありますが、今回の報告では大豆市場にとって大幅な修正が行われていました。

それは米国の大豆生産量の引き上げと、これを根拠とした需給緩和見通しです。

今回の需給報告において米国農務省(USDA)は、米国の2016~17年度の大豆生産量予測を前月予測の42億6,900万ブッシェルから43億6,100万ブッシェルへと引き上げました。

収穫が終了に近づき降霜被害の可能性がほぼ消滅したことで、それまでの保守的な見方に修正が施され、より実質に近い生産量に修正が行われたわけです。

その結果、期末在庫率は需給にひっ迫感の強い一桁台から、需給緩和感が強い二ケタ台となる11.7%まで引き上げられました。前年度となる2015~16年度の期末在庫率が5.0%ですので、2016~17年だけで米国内の大豆需給は予想されていた以上に著しい改善を見せることが、今回の需給報告でほぼ確定されたことになります。

この需給報告の弱気な内容は、大統領選の結果が判明した後もシカゴ市場が大きな下落を見せているため、すでに市場には織り込まれたものと思われます。しかしながら、これまで予測されていた以上に米国内で大豆需給の緩和が進む見通しとなっていることは、今後の市場の潜在的な重石となってくる可能性があります。

その重石が取り除かれる可能性を生み出す要因があるすれば、それは、世界生産において高い比率を占める南米諸国で生育不良が発生し、これにより米国産大豆需要が高まるとの見通しです。

特に、南米諸国が現在生育期を迎えるなか、ブラジルの生産量が確定的となる来年2月頃までは最大の注目要因と言えます。というのも、同国の2016~17年度の生産量が1億200万トンに達すると同時に、輸出量は米国を上回り世界最大となる5,840万トンが見込まれているからです(いずれもUSDA予測)。

しかしながら、そのブラジルの現時点の動向が、シカゴ大豆市場の地合いが次第に軟化に向かう可能性を示すと考えられる2番目の理由となっているのです。

それはなぜか、というと、まず、現在、ブラジルでは順調に生育が進行していることが挙げられます。

ブラジルの調査会社であるサフラス・エ・メルカド社によると、11月上旬時点のブラジルの大豆作付け進捗率は前年度の49%に対し52.5%となっているほか、マトグロッソ州の調査会社、IMEAによると、11月4日時点の同州の大豆作付進捗率は前年度の61%を大幅に上回る80%に達しています。

このように作付が早いペースで進行していることによって、干ばつによる影響を避けられる可能性が高いばかりか、後播種の穀物を生産するにも十分な期間を確保することが出来ます。つまり、早い段階で生育が進行することによって、ブラジルの2016~17年度の穀物生産量が予測通りの量を達成する可能性が高まっていると見られるのです。

現時点では、ブラジル南部ではやや乾燥した天候が広がっていると伝えられているものの、生育不良などの発生は伝えられていません。今後の天候次第という側面は依然として強いながらも、今の段階ではブラジルの大豆生育は順調と言えるでしょう。

大豆価格にとって圧迫要因となってくるのは、順調に生育が進行していることだけが理由ではありません。米国の大統領選を受けて、ブラジルの通貨レアルが対ドルで下落していることが、シカゴ市場の大豆価格の圧迫要因になってくると見られるのです。

ちなみに、ドルレアルの推移を見てみると、11月8日には1ドル/3.1695レアルで推移していましたものの、11月16日現在は1ドル/3.4414レアルまでレアル安が進行しています。

ブラジルの通貨レアルが下落することが、シカゴ市場の圧迫要因になると考えられるのは、ブラジル産大豆の価格に割安感が強まる結果、ブラジル産大豆への需要が高まると予想されるからです。

今後、順調に生育が進行し予測されている通りの大豊作になると同時にレアルがドルに対して下落した状態が続いていれば、割安感の強いブラジル産大豆へと輸入国側の需要が増加する可能性が高まることになるでしょう。

なお、ブラジルでは早いペースで作付が進行していることで、例年よりも早い時期に収穫が開始されることが見込まれています。

同じくImeaによると、マトグロッソ州の大豆収穫は例年よりも早まることが見込まれ、1月末時点での収穫進捗率は例年の10%程度に対し、今年度は25%程度に達する見通しとなっています。

ブラジルでの大豆収穫が早まれば、当然のことながら同国からの供給開始時期も早まることになるため、足元の供給にひっ迫感が強くない状況であればブラジルの収穫を待ってから買い付ける、という動きが出てくる可能性もあります。

現在、ブラジルは生育期の途中段階であり、今後、急激に天候不良が広がる可能性もあるため、同国の天候リスクには十分に注意をする必要があるでしょう。しかしながら、米国の大豆生産量予測がここに来て上方修正されたことに加え、南米での大豊作と大豊作後の輸出を活発化させる要因になり得るレアル安が示現されています。そのため、現在は底固さを見せるシカゴ大豆市場ではありますが、次第に頭押されるリスクが高まっているのではないでしょうか。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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