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とうもろこし市場のポストハーベストラリーは早くも収束か

 シカゴとうもろこし市場では、360セントに迫る動きを見せていた動きがここに来て若干の変化を見せています。

 現地1日の取引において、中心限月である12月限は前日より5.75セント安の349セントで取引を終えました。シカゴ市場では、現地10月14日の取引以降、360セント突破を試みる動きが続いていましたが、360セントの壁は厚く、しばらくもちあっていたのです。

 その間、短期的に価格が下落する場面が見られながらもその後再び上昇しましたが、それでも360セント突破は達成できず、今回の大幅下落につながっています。

 シカゴ市場ではとうもろこし価格が米国の大豊作が確定的となるなか、8月下旬から9月上旬にかけては320セントを割り込む水準まで値を落としていました。その後は、収穫進行に伴い価格が上昇する、いわゆるポストハーベストラリーを迎え、360セント間近という水準まで値位置が回復しているのです。

 これまでも、米国では大豊作が確定的となった後は弱材料に織り込み感が強まることに加え、大豊作によって価格が低迷すれば次年度の作付意欲が低下し、その結果として生産量が縮小することが見込まれる、との思惑から、収穫が始まるとともに価格が上昇するポストハーベストラリーを演じてきました。

 今年もこれまでの例に習った動きが見られているわけですが、今後もこのラリーを継続できるかという点については見通しに不透明感が強いのが実情です。その理由として、この近年、南米諸国がとうもろこし供給国として著しい成長を見せていることが挙げられます。

 米国農務省(USDA)が現地10月12日に発表した需給報告によると、16~17年度の生産量は、南米最大の生産国であるブラジルが前年度の6,700万トンから8,350万トンへ、そして南米第2位の生産国であるアルゼンチンが前年度の2,800万トンから3,650万トンへ拡大する見通しとなっています。この2か国だけで2,500万トンの生産量が拡大することが見込まれているわけです。

 これに対し、主要消費国である中国の同年度の生産量が前年度の2億2,458万トンから2億1,600万トンに縮小することが見込まれています。しかしながら、この減産も前年度に比べて3,699万トン生産量を伸ばした米国を含め、主要3か国の生産量が大幅に拡大していることに相殺されています。その結果、世界の16~17年度の生産量は前年度比で66.55%の伸びを見せることが予測されているのです。

 これに対し、世界の需要は前年度から約6.3%の伸びを見せる見通しに過ぎません。つまり、南米諸国の生産量が現在予測されている通りの水準を達成できれば、米国内だけでなく世界的にも一気に需給緩和が進むことが見込まれるのです。

 実際には、大豊作になれば保管場所や輸送などの面でトラブルが発生し、これが供給遅延を招くリスクも残されています。しかしながら、長期的に見れば解決に向かうことが予想されるトラブルであれば、次第に通常の流通状態が回復することになり、これに伴って価格が下押されることが見込まれます。

 また、このように価格が伸び悩むなかで南米諸国のコーンが順調に進行すれば下方への圧力が高まることになると予想されます。とはいえ、360セントという現在の価格水準は、大きな流れで見ると2014年10月半ば以降、定着している水準と言えます。

 この2014~15年度の世界のコーン生産動向を振り返ってみると、米国の生産量が140億ブッシェルを初めて突破した年であると同時に、ブラジルの生産量は16~17年度の予測8,350万トンを上回る8,500万トンを記録していました。

 ただ、当時にアルゼンチンの生産量は政策によって抑えられていたこともあって、16~17年度予測の3,650万トンに対し、2,870万トンにとどまっていますが、この年は世界総生産量は10億1,437万トンと、世界生産量が初めて10億トン台に達した年でした。

 ちなみに、16~17年度の生産量はそれをやや上回る10億2,569万3,000トンですが、総消費量が14~15年度の9億6,388万トンだったのに対し、1億878万5,000トンが予測されています。そのため、生産量の拡大による影響は消費の拡大によって相殺されると考えられます。つまり、需給面から見ると、価格に与える需給面からの影響は2014~15年度と同程度と想定されます。

 このようなことから、とうもろこし価格がこれ以上下落する余地は限定される可能性が高い、と現時点では考えられる一方、南米諸国での生育不良など、予想通りの供給量が達成できないリスクが浮上しない限り、価格が上昇するのは難しく、低迷した状況が続くと予想されます。

 そのような環境の中、価格上昇の可能性を握る一因として注目されるのが、これほどまでに需給の緩和が世界的に進むと見られるなか、来春の米国のコーン作付面積がどのような影響を受けるか、という点です。

 生産コストを大きく下回る程度にまで価格が下落するようであれば、作付面積が縮小するとの見方が強まり、これが価格を押し上げる要因になってくると思われます。

 ただ、南米諸国の生育不良と米国の作付縮小以外に供給面で価格上昇を促す要因に乏しいのも事実です。

 米国の圧倒的な生産量の伸びと同様に大幅な生産量の拡大が見込まれるブラジル、アルゼンチンという要因が圧迫要因となるなか、とうもろこし市場のポストハーベストラリーはそろそろ収束することになりそうで、南米諸国での波乱や来春の米国の作付縮小見通しなどが付かない限り、長期に渡って低迷場面を演じることになりそうです。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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