FX外国為替情報のKlug(クルーク)
為替、海外投資でハイリターンを得るためのニュース、レポート、コラムを掲載

本格的な上昇トレンドはいつ?今後の白金市場の行方を考える

NY白金市場では、現地10月25日の取引で上値を追う足取りを演じました。中心限月の1月限は前日より25.8ドル高の964.9ドルでこの日の取引を終えています。

NY白金は、現地10月12日の取引で950ドルを割り込んで以降、しばらくは低迷場面が続いていました。そのため、終値が950ドルを超えるのは、10営業日ぶりのことになります。

この日、NY白金が大きく上昇したのは、ドル安、株高、原油高、そして金市場の堅調と、白金市場を巡る環境が買いを支援したことが背景となっています。

しかしながら、白金独自の要因としては価格上昇を肯定する材料が揃っているとは言い難いのが現状です。特に、南アフリカでは労使交渉が軟着陸する見通しが高まっており、労使交渉の決裂を背景としたスト発生がリスク要因として浮上し、価格が上昇する可能性は低下しているのです。

南アフリカでは、現地10月3日に同国最大で従来からの産金業界労働組合であるNUM(全国鉱山労働者組合)と世界第2位の白金生産業者であるインプラッツ社の間で、2016年7月1日~2018年6月30日までという実行期間2年の労使合意に至ったことが明らかとされました。

今回の労使合意では、賃上げ率は全体で7.5~10.0%となり、2016年7月1日にさかのぼって実行されることになっています。

このインパラ社とNUMの合意発表を受けて、最近になって力を付けてきた鉱山・建設労働組合連合(AMCU)も10月21日には、アンプラッツ社、インプラッツ社、そしてロンミン社との間での労使交渉が暫定的に合意に達したことを明らかにしました。

AMCUはそもそも労働者の賃金に合わせて15%~50%の賃上げを要求していましたが、今のところ、どの程度の賃金引上げで暫定合意に至ったかは明らかにされていません。

しかしながら、先にNUMとインパラ社の賃上げ率が具体的に発表されたことにより、労働組合側、生産業者側が目指すべきラインが示され、これにより労使交渉が進展したものと考えられます。

実際には最終合意に至っていないことが懸念材料として残っているものの、すでに基本的なラインは合意されたと発表されているだけに、AMCU側もよほどのことがなければこれまでの合意を覆してまでスト実施へと動くことは無いと考えられます。

10月末には最終合意が発表される予定になっているため、合意の確定にはまだ時間が残されています。しかしながら、基本ラインで合意に至った時点で、ストが原因になっての白金価格上昇の可能性は著しく低下したといえるでしょう。

また、為替面も白金価格の上昇を妨げる一因になっていると考えられます。白金はその生産の7~8割程度を南アフリカに依存しているため、南アフリカの通貨の動向が白金価格に大きく影響を与えます。というのも、ドル建てで取引される際、ランド安が進行していれば、ドル建てでの白金価格が下落する一方、ランドが対ドルで上昇していれば白金価格も上昇すると考えられるからです。

その南アフリカランドとドルは、2015年以降、急速にランド安・ドル高の流れが強まっています。現在は10月半ばに進んでいた南アフリカランド安ドル高の流れも、落ち着きを見せていますが、それでも中期的に見るとランド安・ドル高の流れの中にいることに変わりはありません。

ちなみに、10月26日現在、ドル/ランドは1ドル=13.72ランドを付けています。これは一時は1ドル=16ランド台で推移していた1月に比べると落ち着いた感があります。しかしながら、今後、米国では追加利上げを控えている可能性が高いことに加え、南アフリカではズマ大統領の公金横領問題などの政情不安を抱えている現状を考慮すると、これ以上、ドル安ランド高が進行する可能性は低いでしょう。

つまり、通貨面から見ても白金価格の上昇を促す手掛かりに欠けるのが現状と考えられるのです。

なお、白金は需給面から見ると決して弱気とはいえない状況にあります。実際、ジョンソンマッセイ(JM)社は、2016年の白金需給は、26.8トンの供給不足になるとの見通しを示しています。

また、9月に発表されたワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の四半期報告でも、2016年は白金供給が52.0万オンス不足し、前年度の33.5万オンス不足に比べて供給不足幅が拡大するとの見方が示されています。

しかしながら、これまで調査機関によって供給不足見通しが示されながらも、鉱山生産で不足した分はリサイクル分によって賄われてきた結果、供給不足見通しに対する反応が鈍化し、価格への影響もごく僅かな程度に留まるに至っています。

供給不足という価格に最も影響がある要因にさえ意識が低下している現状下では、価格上昇に向けて意識が高まるにはよほどのインパクトがある要因が必要に思われます。

米国では年内に追加利上げが実施されるとの見方が金市場の上値を重くしている現状もあり、底値を脱しつつあるとはいえ、白金市場のこれ以上の上昇を支援する材料には乏しく、白金価格の今後の上げ幅も限定される可能性が高いと考えられます。

【ご注意】本ブログに掲載されている情報の著作権は株式会社日本先物情報ネットワークに帰属し、本ブログに記載されている情報を株式会社日本先物情報ネットワークの許可無しに転用、複製、複写することはできません。

平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

メールマガジン

山岡和雅が毎日発行!
外国為替ディーラーの心の中

毎日の為替相場を、市場参加者の目を通して判り易く解説。為替ディーラーの本音は?【まぐまぐ殿堂入り】

バックナンバー

朝刊 ニューヨーク為替市場レポート
米国市場の動きを、朝一番に配信!! FX、外国為替、米国株、米国金利など、テレビやWEBサイトでは得られないニューヨーク金融市場情報のほか、アナリストの独自解説も配信します。

バックナンバー

powered byまぐまぐトップページへ

URL変更のお知らせ

KlugFXのURLはhttp://klug-fx.jpへ変更となります。お気に入りやブックマークなどに登録されているご利用者さまは、お手数ですが下記の新URLへの変更をお願いいたします。

http://klug-fx.jp