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今年のシカゴ大豆がポストハーベストラリーを期待し難い理由

 シカゴ大豆市場では、米国農務省(USDA)による需給報告発表直後となる現地13
日の取引で大きく値を伸ばした後も、値位置を崩すことなく970セント以上という水
準を維持したうえでの推移が続いています。

 現地18日の取引ではやや軟調な足取りが見られながらも、中心限月である11月限
の終値は前日比5.75セント安の972.5セントでした。この970セント台と
いう水準は、大豆豊作の現実味が帯びてきたことで値を崩す8月下旬以降のなかでは高
値に位置します。

 しかしながら、970セントを超えてきたところでは伸び悩みに転じています。大豊
作の年には、大豊作見通しが長期に渡って上値を抑制されながらも、収穫が開始される
ことで弱材料が織り込まれ、それと同時にそれまで低迷していた価格が上昇する、とい
うポストハーベストラリーが発生することがあります。

 950セントという目先の安値の水準を脱しつつあることで、ポストハーベストラ
リーに対する期待も高まるところですが、実際には、今年の大豆市場はそう簡単には価
格が上昇することはないように思われます。

 というのも、米国が過去最大の豊作になっているからです。現地10月12日に発表
された最新のUSDA需給報告では、16~17年度の米国の大豆生産量は42億10
0万ブッシェルという前月予測から42億6,900万ブッシェルへと上方修正されま
した。

 なお、10月16日時点の米国の収穫進捗率は過去5年間平均の63%、前年同時期
の73%をともに下回る62%となっています。しかしながら落葉率は96%で、ほぼ
成熟を終えていることから、天候などの条件さえ許せば、収穫が一気に進行することが
見込まれ、イールド低下を引き起こすほどの収穫遅れが発生する可能性は低いと見られ
ます。 

 この生産量引上げと同時に輸出量予測を中心とした消費量予測も前月発表時点の40
億6,100万ブッシェルから41億100万ブッシェルに引き上げられているもの
の、生産量の大幅引き上げの影響で、期末在庫量は3億6,500万ブッシェルから3
億9,500万ブッシェルへ、そして期末在庫率は9.0%から9.6%への引き上げ
となっているのです。

 まだ一桁台とはいえ、期末在庫率が二ケタ台乗せに向けて上方修正されたことは、米
国内の大豆需給緩和感をこれまでよりも強めることになります。また、米国の大豆輸出
が、USDAが予測するように強気を維持できるかどうか、という点にも不透明感が残
ります。

 というのも、米国以外の主要生産国の大豆生産量予測も上方修正されているからで
す。世界第2位の生産国にして輸出量では米国を抜いて世界一の座を誇るブラジルの場
合、16~17年度の生産量は前月予測の1億100万トンから1億200万トンに引
き上げられました。

 これに伴い、世界の生産量は前月予測の3億3,043万トンから3億3,322万
トンに引き上げられています。一方、消費量は3億2,867万トンから3億2,87
5万トンへとわずかな量の修正にとどまっています。

 つまり、16~17年度に関しては、生産量が大幅に伸びる一方、需要の伸びが限定
される結果、需給緩和が進むと考えられるのです。

 従来のポストハーベストラリーは、米国の生産規模が世界市場おいて圧倒的な規模を
誇り、それが故、米国の生産量の動向が穀物価格に直接的な影響を与えていた時期に発
生していました。

 ポストハーベストラリーが発生する根拠となっていたのは、大豊作となった年には価
格が低迷することで翌年の生産量が減少するという見通しです。しかしながら、南米諸
国が米国に匹敵するほどの生産能力を持つほどに成長したことにより、この従来の方程
式は崩れてしまい、ポストハーベストラリーが形式的なものに変化してきていると考え
られます。

 大豆市場の地合いが本格的に強まるためには、米国以上の輸出規模に成長したブラジ
ル、そして南米第2位、第3位の輸出国であるアルゼンチン、パラグアイで生産不良が
発生し、それによって米国の輸出量が現時点で予測されている以上に拡大する、との見
通しが付かない限り、難しいと思われます。

 下値圏を脱しつつあるように見られるシカゴ大豆市場の動きですが、これからは南米
諸国の天候が強く意識される時期だけに、価格が下落しにくくなっているというのも現
状です。しかしながら、南米諸国の生育状況に異変が見られない限り、ポストハーベス
トラリーが本格化する可能性は低く、不完全燃焼で終わる可能性がある点を十分に留意
しておく必要があるでしょう。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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