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増産凍結合意を得たいサウジアラビアの理由

石油輸出機構(OPEC)はカタールにおいて、現地26日から28日にかけて非公式の会合を開催しています。現在では若干の回復を見せているとはいえ、NY原油市場では中心限月が8月上旬には40ドルを下回る場面が見られたほか、7月上旬以降は50ドル以下での推移が続いています。

このような原油価格の低迷が続くなか、今回の非公式会合では、低迷する原油価格の回復を目的として、増産凍結が最終合意に至るかどうか、という点が注目されています。

これまでにも、産油国の間では原油価格の回復を目指した増産凍結の話し合いがたびたび持たれてきました。特に4月にカタールの首都ドーハで開催された会合では、増産凍結合意に至るのもほぼ確実とさえ見られていました。

しかしながらこの会合は、イランが欠席となったほか、サウジアラビアがイランを含む全ての産油国が増産凍結に合意しない限り、サウジアラビアが生産を抑制することは無い、との姿勢を示したことで決裂に至っています。

今回の会合においても、すでにイランとサウジアラビアの不調和が伝えられてきており、28日までという期間内で増産凍結合意に至るのは難しい、との見方が強まっています。

実際、イランは今年1月に経済制裁を解かれたばかりで、国内経済を立て直すためにも、増産をして収入を拡大させる必要に迫られています。原油価格が低迷していても、大量に売却しシェアを確保することによって国内経済を回復させたい、との意向が強いと考えられるため、増産凍結に合意するのは難しいと考えられます。

また、イランのザンギャネ石油相は27日には"28日の会合では意見交換などを行うが、増産凍結を含めた結論に至ることは目指しておらず、11月に何らかの成果を得たい。"と語り、今回の会合での増産凍結合意の可能性は低いことを示唆しています。

なお、OPECが発表した9月12日付の月報によると、2016年8月時点のイランの産油量は、365万3,000バレルに達しています。今年第1四半期の産油量が309万6,000バレルだったため、56万バレル程度の産油量引き上げに成功していることになります。

ただ、イランの産油目標量は400万バレルとされているだけに、その達成までにはまだ34万7,000バレル、産油量を引き上げる必要があります。主要産油国としての地位確保を目指している途上にあるイランが、目標達成の途中段階で増産凍結に合意するのは、それに見合う何らかの条件が無ければ難航するのが当然でしょう。

市場ではこのイランの動きを見越し、大口投機家が買いポジションを大きく縮小させる動きを見せています。ちなみに、米国先物取引委員会(CFTC)の発表によると、9月13日から20日までの1週間で大口投機家の買い越し数は、31万3,302枚から27万8,873枚へと縮小しています。

とはいえ、サウジアラビアは原油価格を出来るだけ早い段階で回復させる必要に迫られています。というのも、原油価格が低迷するなか、財政赤字に見舞われているサウジアラビアでは世界最大の産油業者であるサウジアラムコ社を上場することによって外国からの資本を調達し、国内への投資を行うことを計画しているからです。

サウジアラムコ社上場の計画が知られた当時、アップル社を超える時価総額世界最大の企業が誕生するのではないか、との期待が高まりました。関心が集まる上場の時期は2017年中になると見られています。その上場時に原油価格が回復していれば、アラムコ社の企業価値も上昇し、調達できる資金も拡大することになります。

国内経済の立て直しと脱石油のための新たな産業への投資を行うために、サウジアラビアにとっては原油価格回復の重要度が高まると同時に、出来るだけ早い段階での価格回復が必要になっているのです。

そのため、今回の会合では増産凍結合意に至らなかったとしても、11月の会合では増産凍結合意に至るよう働きかけが活発化してくることになりそうです。サウジアラビアがイランに対してどのような条件を提示して増産凍結合意を取り付けることができるのか、原油価格回復に向けた攻防から目を離せない状況が続くことになりそうです。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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