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労使交渉が暗礁に乗り上げた白金市場の行方を探る

 NY白金市場では下値を追う足取りが続いています。1,200ドルに迫る動きを見せた現地8月10日の取引の翌日となる8月11日の取引をきっかけとしてNY白金市場の地合いは中期的な軟化傾向にあります。

 現地9月6日の取引では一時的に上昇する場面が見られました。しかしながら、1,100ドル超えに失敗した後は続落場面を演じており、最新の取引となる現地9月13日の取引を、中心限月である10月限月は、前日より6.9ドル安の1036.0ドルで終えています。

 NY白金市場は7月上旬から下旬にかけて1,100ドル程度でもちあっていたため、この水準が下落時における目先のサポートになる可能性もありました。しかしながら、その水準をあっさりと下抜いた後も、下方へとさらに圧力がかかる状況が続いているのです。

 その主因となっているのが、米国の追加利上げの可能性です。米国では9月20日~21日にかけて米連邦準備制度理事会(FOMC)が開催されます。

FOMC開催を控えるなか、これまで、フィッシャー米連邦準備制度理事会(FRB)副議長、ローゼン グレン・ボストン地区連銀総裁など、FOMC関係者から追加利上げに肯定的な発言が行われています。

これに対し、ブレイナードFRB理事は現地9月12日にシカゴで行った講演において、利上げに対して慎重な姿勢を明らかにしました。この発言は追加利上げにとっては向かい風となり、9月の追加利上げ実施に対しては懐疑的な見方が強まっています。

とは言っても、追加利上げに対する肯定的な発言が複数の関係者から聞かれているだけに、9月に追加利上げが実施されなかったとしても、12月に開催されるFOMCで追加利上げが実施される可能性は高いとも見られています。

追加利上げの可能性は金市場にとっての弱材料となります。同時に、金市場の動きは、他貴金属市場に影響するため、他貴金属市場も上値を抑制される展開になることが予想されるのです。

ちなみに、今年5月以降のNY市場における金の取組高は60万枚前後を維持しているのに対し、銀の取組高は20万枚前後でした。白金にいたっては、取組高は8万枚前後にとどまっています。このように取引量において金の存在感は圧倒的で、それだけに貴金属市場にも強い影響力を与えているのです。

米国の追加利上げ見通しを受けて金市場の低迷が見込まれる状況下で、白金価格が上昇する可能性はあるのでしょうか。価格の上昇を促す可能性がある材料として挙げられるのが、南アフリカにおける白金労働者によるストの可能性です。

南アフリカでは生産業者側と労働者側での賃金交渉は隔年で行われますが、偶数年である今年は労使交渉の年となります。実際、南アフリカでは7月12日から労使交渉が開始されています。

労使交渉の行方は、白金市場にとって重要な材料となります。というのも、過去には労使交渉が決裂した結果、大規模かつ過激なストが実施されて白金供給量が減少し、白金価格が大きく上昇する経験をしているからです。

労使交渉が開始された7月12日以降、NY金市場の軟化にもかかわらず、白金市場が底意の強い足取りを演じたのは、労使交渉の行方に対する警戒感が背景となっていました。

しかしながら、9月に入ってからこの労使交渉が新たな局面を迎えました。というのも、南ア最大の鉱山労働者組合であるAMCUが5日に、労使交渉の決裂を発表したからです。

これは、AMCUの要求は8,500ランドの基本賃金を12,500ランドへと大幅な引き上げを要求しているのに対し、白金業者側の提案は、アムプラッツが600ランド(約4300円)もしくは6%のうち高い方、ロンミンは750ランド(約5360円)もしくは6%、インパラは650ランド(約4647円)か6%、と南アフリカ国内のインフレ率に沿った穏やかなものにとどまっていることが背景となっています。

今週からAMCUはアムプラッツ、インパラと個別に交渉を行う予定となっています。この交渉すら暗礁に乗り上げるようであれば、世界の白金供給量のうち7割程度を生産する白金主要生産国である南アフリカにおいて、労働者によるストが発生するリスクが高まります。実際にストが発生すれば、白金市場にとって強気材料になってくる可能性があります。

とはいえ近年、世界の白金需給は、鉱山生産量が減少すればリサイクル分が増加することでその減産分を相殺するというサイクルにあります。そもそも、今年度は早くから白金供給不足が見込まれ、リサイクル白金の存在もあって、すでに市場もそれを織り込んだ感があります。それだけに、労働者によるストが発生して白金の鉱山生産量減少見通しが強まったとしても、市場に与える影響は限られたものとなってきそうです。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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