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コーン市場のこれからを見るうえで知っておきたいアルゼンチンの事情

 米国農務省(USDA)が予測している151億ブッシェルという過去に例を見ない大豊作になる可能性が一段と高まっています。

米国農務省国家統計局(USDA/NASS)の9月6日付の発表によると、現在、米国のコーン産地主要18州における作柄は良~優の状態は74%と引き続き、極めて良い状態を維持しています。

このように順調な生育が続いていることが伝わるなか、落ち込みを見せていたCBOTコーン市場におけるコーン価格はやや持ち直しを見せています。

 現地6日の取引における中心限月である12月限の終値は328.50セントでした。これは前日と同値になりますが、目先の安値を付けた8月31日時点の終値315.5セントからは13セント回復したことになります。

 過去の動向を振り返ってみると、2009年、2014年などのように大豊作が確定的となった場合、9月末以降にコーン価格が回復する年が見受けられます。これは、大豊作となったことで価格が低迷することが見込まれるため、この価格低迷がイヤ気されてその結果、来春の作付面積が縮小し、来年の需給は引き締まり傾向が強まる、との見方を先取りした動きです。

 しかしながら、今年はその傾向に変化が出てくる可能性が浮上しています。というのも、南半球における主要コーン供給国であるアルゼンチンにおけるコーン生産に大きな変化が生じることが見込まれるからです。

 アルゼンチンでは、2015年12月10日にマウリシオ・マクリ新大統領が就任しました。新大統領の就任によって、同国の穀物政策が大いに変化しました。その変化としてまず挙げられるのが、穀物輸出関税の撤廃と軽減措置、そして通貨政策です。

 同大統領は、就任してすぐの12月14日に小麦、コーン、などの輸出税の撤廃と、大豆の輸出関税を現行の 35%から毎年 5 %ずつ段階的引き下げる方針を正式に発表しました。

 その2日後となる12 月 16 日には、自国通貨ペソを従来の固定相場制から変動相場制に移行することを発表し、これによって対ドルにおけるアルゼンチンペソ安がもたらされています。ちなみに、日本時間9月7日14時30分時点の米ドル・アルゼンチンペソのレートは1米国ドル=15.0170アルゼンチンペソとなっていますが、マクリ氏の大統領就任前の米ドル・アルゼンチンペソのレートは、1米国ドル=約9.6アルゼンチンペソでした。変動相場制に移行したことにより、大幅なペソ安がもたらされているのです。

 輸出関税が撤廃されるなか、通貨安が進行していることによって、アルゼンチンからのコーン輸出が活発化することは間違いないでしょう。

 なお、USDAは最新の需給報告において15~16年度のアルゼンチンのコーン輸出量予測を1,850万トンに引き上げています。15~16年度のアルゼンチンのコーン輸出量予測は当初、1,550万トンと予測されていましたが、新大統領就任に伴い、徐々に上方修正が繰り返されてきています。

 しかしながら、このコーン輸出量の増加は一時的な動きにとどまらない点に注意が必要です。この新たな政策を受けて、16~17年度の同国のコーン輸出量は前年度予測の1,850万トンを大きく上回り、2,400万トンに達するとの見方が示されているのです。

 この輸出の増加を可能とするのが、生産量の拡大です。アルゼンチンのコーン生産量は、16~17年度には前年度の2,800万トンから3,650万トンに拡大することが見込まれています。

 これに対し16~17年度の大豆生産量は15~16年度の5,650万トンから5,700万トンに、そして輸出量は1,050万トンから1,065万トンと、わずかな拡大にとどまることが予測されています。16~17年度、アルゼンチンでは如何にコーン生産に焦点があてられるか、がUSDA予測から窺うことが出来ます。

 アルゼンチンでは9月からコーン生育が開始されます。生産量と輸出量の大幅な拡大が見込まれているうえ、ペソ安が同国のコーン輸出を後押しするし続けるようであれば、米国のコーン輸出が圧迫される可能性もあります。

 例年、これから南米諸国の天候に対する意識が高まる時期を迎えますが、新大統領就任による農業政策の変化が、アルゼンチンのコーン生産そして輸出を大きく成長させ、これがコーン価格の上値を抑制する要因として存在し続ける可能性がある点に留意しておきたいところです。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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