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底固さを見せる金市場の地合いを軟化させる要因とは

NY金市場1,374.20ドルを付けた現地8月2日の取引後に急落場面を演じましたが、その後は1,340ドルを下値サポートにしてのもちあい場面を演じています。

6月下旬の英国でのEU離脱派勝利後に高まった欧州経済に対する警戒感を受けた上値追い場面後の修正を終えた後も、大きく崩れることは無く高値で推移し続けています。依然として、金市場には下落に対する強い抵抗が潜在していることが窺われる状況が続いています。

この背景となっているのが、ドルの独歩高に対する懸念です。米国では米国経済の回復を示唆する内容の経済指標の発表が見られています。時折、弱気な内容の経済指標が発表されているのも事実です。

しかしながら、非農業部門雇用者数が6月には2015年1 0月以来の大幅増となる前月比28万7000人増となったことに加え、続く7月も事前予想の18万人を大きく上回る25万5,000人に達するなど、雇用部門の回復を裏付ける発表が続いています。

 雇用情勢の回復は追加利上げ実施のための必要条件とされているだけに、雇用部門の回復を示すデータが連続で発表されることにより、米国の追加利上げ実施の可能性が高まったとの見方が強まります。

とはいえ、雇用情勢をはじめとする米国の景気回復を示すデータのみを手掛かりにして追加利上げの実施が可能になるわけではない、という点には変わりはありません。というのも、追加利上げが実施されれば、米国ドルを含む米国の金融商品に対する買いの手が活発化し、その結果としてドル高が進行すると考えられるからです。

ドル高が進行すれば、米国の輸出産業は打撃を受ける可能性が高まります。そのため、米国で追加利上げが実施されるとすれば、雇用情勢だけではなく、ドル高によるショックを吸収できるほどに米国の経済が回復しているという根拠が必要になってくると思われます。

それでは、米国が追加利上げを実施するに十分に景気が回復したと判断され、連邦準備制度理事会(FRB)が追加利上げ実施に踏み切るのはいつのことになるのでしょうか。その重要な手掛かりとなるのが、8月26日に行われるイエレンFRB議長の講演です。

FRBは下半期から翌年上旬にかけての金融政策を夏場に決定します。そのため、今回の
講演ではこれからの半年間、FRBがどのような政策を実施していくのか、その方針を把握するのに重要な手掛かりとなります。

 特に金市場においては、追加利上げが年内に行われるのか、また、行われるとすればそれは年内1回なのか、2回なのか、で見解が分かれています。現時点では12月に1回行われるとの見方が有力ですが、その可能性を今回の講演で探れるのかどうか、という点が注目されます。

 それでは、今回のイエレン議長の講演では利上げの時期について言及される可能性はあるのでしょうか。

 実際のところ、今回の講演において年内の利上げの時期やその回数について具体的な言及が行われることは無いと考えられます。というのも、6月、7月と連続して強気な雇用統計の発表が行われているとはいえ、9月2日には8月の雇用統計の発表を控えているうえ、米国の経済が追加利上げによるドル高を吸収できるほどに回復すると判断するための材料には乏しい状況と言えるからです。

 また、今回、追加利上げに関する具体的な言及を行えば、それだけFRBとして実施する金融政策の幅が限られることになってしまい、イエレン議長自身の首を絞めかねません。そのため、今回の講演の内容もこれまで同様、緩やかな内容にとどまることになるのではないでしょうか。

 ただ、その内容から年内の追加利上げについてFRBの積極性が増しているのかどうか、を探ることは可能かと思われます。

 すでに、フィッシャーFRB副議長を始め、ニューヨーク連銀ダドリー総裁、サンフランシスコ連銀ウィリアムズ総裁などから追加利上げに対して肯定的な発言が相次いで行われています。それだけに今回の講演で示されるであろうイエレン議長の追加利上げに対する姿勢が積極性を増してもおかしくはないと思われます。

 年内には9月、11月、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)の開催が予定されています。実際に追加利上げが行われるのか、行われるのであればどの時期になりそうか、今回のイエレン議長の講演には様々なメッセージが含まれている可能性があり、年内利上げの可能性が高まるようであれば、金市場の地合いが軟化し1,300ドル割れのリスクが高まることに注意しておきたいところです。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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