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鈍化傾向を強める中国の原油需要

 中国税関総局の発表によると、同国の6月の月間原油輸入は2,172万トン(日量530.7万バレル)でした。その一方で輸出量が11万トンと発表されているため、同国の原油の純輸入量は2,161万トンとなります。

 この輸入量は前月に記録した2,530万トンを14.6%と大きく下回るだけではなく、昨年12月以来、最も少ない量となります。

 原油の輸入量は需要と必ずしも一致しているわけではありません。というのも、輸入量は需要量と保管能力の両方を合わせた数量を示していると考えられているからです。そのため、6月の月間輸入量の減少が需要の減少を直ちに示しているわけではない、と見ることも出来ます。

 中国のここ数ヶ月間の原油輸入量を振り返ってみましょう。1月~6月間の累計輸入量は前年同時期に比べると10.9%増と二桁の伸び率を記録して1億4,006万トンを示現しています。

 また、第2四半期の輸入量について前年同期に比べると10.6%増加した6,946万トンを記録しました。なかでも、5月に記録した2,530万トンという原油純輸入量は過去最大量となります。

 とはいえ、前述のように"月間輸入量の減少が需要の減少を直ちに示しているわけではない"のと同様に、このような原油輸入量の増加=中国の原油需要が旺盛を示しているわけでもありません。

というのも、中国の原油輸入量の増加は今年第1四半期までに総計8,000万バレル規模の戦略備蓄基地が完成したことを受け、戦略備蓄在庫を確保するためにこれまで積極的な原油輸入が行われてきた、と見られるからです。

 また、過去最大を記録した5月の輸入に関しては、5月当初には105ドル前後で推移していたNY原油が5月下旬にかけて90ドルを割り込む軟調な足取りを展開していたことを好機とみて、大量の買いつけが行われた可能性も否定できません。

 なお、5月の原油輸入が価格下落を背景にして通常ではない規模まで膨らんだと考えれば、6月の原油輸入量が減少したことは必ずしも弱気とは言えないでしょう。しかしながら、実際には、6月の原油輸入量の減少は前月の輸入規模が異例とも言える水準に達していたことだけが理由だけではないようです。

ここで注目したいのが、今年初めを筆頭にして中国国内の原油処理量が減少している点です。

国家統計局の発表によると、今年初め、中国の国内原油処理量はおよそ935万バレル/日を記録していました。その後も原油処理量は3月にかけて過去最大となる高い水準を記録していたものの、4月に入ってから急激に減少に転じ、5月の処理量は1日当たり約916万バレルにとどまっています。

さらに注意したいのが、原油処理量が減少しているにもかかわらず、同国の石油製品輸入量が減少している点です。

中国税関総局によると、6月の石油製品輸入量は前年同月に比べて13.8%減少した293万トンにとどまっています。さらに、今年1月~6月間の累積輸入量に関しても、前年同期に比べて3.8%減少した2億トンとなっているのです。

なお、国際エネルギー機関(IEA)では、中国の石油需要は今年下半期に回復するとの見方を示しています。しかしながら、この需要の増加も、中国政府が経済を活性化させるための政策を実施すること、が前提となっており、無条件での需要の回復を期待させるものではありません。

前年度との比較で見ると輸入量の増加が報告されていることもあり、輸入量の減少が中国の需要減少を直接示しているとは言えない側面もあります。

しかしながら、輸入量の増加が備蓄施設の完成に伴うものであったという一面や、価格の下落が備蓄確保の動きを促したに過ぎないとも考えられること、そして石油製品の需要が減退傾向にある、という面から見ると、この中国の輸入量の減少は同国の石油需要の減少を示唆している可能性もある、として注目する必要があるように思われます。

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平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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