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原油価格底打ちの可能性を秘めるOPEC総会の行方

OPECは3月15日にウィーンで総会を開催します。OPECの一部加盟国が、すでに何度か産油枠の追加削減の可能性について言及していること、そして昨年下半期には、過去に例を見ない規模での大幅な産油枠削減が決定された後でもあるため、今回の総会では再び産油枠の引き下げが決定されるのかどうか、という点が注目されているのはご存知の通りです。

昨年9月以来、OPECは、急落する原油価格に対応するために、次々を産油枠の削減を決定しました。これまでのところ、決定された減産枠は420万バレル(1日当たり)に達します。この量は、中国の1日当たりの平均石油需要380万バレル(国際エネルギー機関の発表による)を上回る量に匹敵します。

ちなみに、この一連の産油枠引き下げ前における加盟国11カ国(イラクを除く)の産油枠は日量2,904.1万バレルでした。そのため、OPECは僅か半年という期間内で15.5%もの減産を決定したことになります。なお、国際エネルギー機関によると、産油枠が定められているOPEC加盟国11カ国の1日当たりの最大産油能力は3,214万バレルとなっていますが、この産油能力に比した場合でも、約13%の減産決定が行われているのです。

昨年7月には147ドルまで上昇していた原油価格が一気に32.4ドル(08年12月19日、NY通常取引の終値)まで下落する急落場面を演じるなか、OPECが慌しさを感じさせるほどのペースで、急激な産油枠削減を決定したことは、原油価格の下落阻止に対するOPECの焦りを表している、と言えるでしょう。

ただ、過去に産油削減が決定された時点ではサウジアラビア以外のOPEC加盟国の削減枠遵守率が低かったこと、そして世界経済の後退に伴う需要低迷観測、そして非OPEC加盟国からの供給増加見通し、などの要因が需給の見通しを弱めていました。

しかしながら、原油価格の下落と金融危機はOPECだけでなく、なかでもノルウェイ、カナダ、オーストラリアといった非OPEC加盟国にも波及した結果、これらの資源国での減産が見込まれています。国際エネルギー機関の発表によれば、2009年度における非OPEC加盟国の1日当たりの産油量は、前年度に比べ40万バレルに留まることが予想されています。その理由としては、金融危機による資金繰りの悪化や原油価格下落に伴う業績の悪化を受けた新規の設備投資規模の縮小、原油価格の下落による採算割れ、などが挙げられるでしょう。

なかでも注目されるのが、米国におけるWTI原油価格低迷を促す一因になっているとカナダの産油量です。というのも、カナダ産原油は、WTI原油受渡地点であるオクラホマ州・クッシングに輸送されますが、そのクッシングの在庫量は2月13日時点では、過去最大の3,490万バレルに達した後は減少に転じ、2月27日時点では3,400万バレルと僅かとはいえ落ち込みを見せているからです。今回、同地における原油在庫量の減少は、カナダからの輸入が減少したわけではなく、国内製油所による原油処理量の増加が背景となっていますが、これにカナダからの輸入量減少が加われば、同地の原油在庫が更に減少すると考えられるからです。

なお、NY市場では、WTI価格が2月12日に33.55ドルまで下落した後は上昇に転じ、3月9日には1月26日以来となる48ドル台に達しました。更に注目されるのは、WTI原油とブレント原油の値開きです。上質の原油であるWTI原油がブレント原油の価格を上回るのが当然と考えられますが、一時は独自に下落基調を強めたWTI原油はブレント原油を10.67ドル下回る水準まで下落していました。しかしながら、3月6日には、昨年12月11日以来約56日ぶりに、WTI原油がブレント原油を上回る、正常と考えられる状態に値開きが変化しているのです。

これは、もちろん前述のように、クッシングにおける在庫量の減少や、NY株式市場の反発が需要回復の期待感を強めたことが背景となっています。しかしながら、同時に米国のOPEC加盟国からの月間原油輸入量が、1億9,810万バレルを記録した昨年8月以降、年末にかけて減少傾向を強め、12月時点では1億7,605万1,000バレルに落ち込んでいることも重要な要因と思われます。

というのは、昨年下半期に3回に渡って行われたOPECの産油枠削減決定のうち、最大となった220万バレルの減産決定は12月17日時点に行われたこと、そして中東から米国までの石油運送日数を考慮すれば、今後も米国の原油輸入量は減少傾向を強め、これが原油在庫の取り崩しという形で表面化する可能性があるからです。

もちろん、世界経済の回復期待が再び和らいだり、カナダからの原油輸入量が再び増加しクッシングの在庫が増加する、または、米国の石油消費不振が更に強まる、などの自体が発生した場合には、OPECによる産油枠削減も相殺される可能性があります。しかしながら、OPEC産油削減の影響を最も受ける中東産原油価格がWTI原油を上回る水準まで達した後、WTI原油価格がこれに遅れる形で上昇傾向を強めたこと、そして米国による中東産原油の輸入減少、さらに一部調査機関によれば80%前後と比較的高い水準に達したOPECの産油枠遵守率、を見ると、今回の総会の決定次第では、原油価格は本格的に底を打つことになるかもしれません。

平山順(ひらやま・じゅん)氏

中央大学法学部卒、英国留学後
(株)日本先物情報ネットワークに入社。現在主任研究員。
商品全般に通じ特に穀物市場を得意とし、テクニカル分析には定評がある。
1999年にシリーズ3(米国先物オプション外務員資格)に合格。

株式会社日本先物情報ネットワーク

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